きっぱりと言い切る。
もちろん、皆で酌み交わす、あるいは意中の相手(古風な…)と差しつ差されつ、、という
その雰囲気、その会話も好きなのだけれど。
単純に 味が好き。なんである。
旨い魚 旨い肴を前にすると「こりゃ、あの酒で…」などと思い浮かべ、共に味わうのが
大・大・大好きなんである。
特に。日本酒。
日本人なら 日本酒でしょう。
そんな小川の気持ちが通じ合う、、というのか、類は友を呼ぶといいますか。
「もこさん、イイ雰囲気で愉しむ利き酒の会があるんで、ご一緒しませんか」
と 嬉しいお誘いを受けた。
ほれ。小川、こうみえても「日本吟醸酒協会認定・吟の騎士」やら「名誉酒匠・利き酒師」
なんて拝命しておるのだが、これ全てただ酒好き。飲兵衛ってところから頂戴している 名誉職なわけで。
好きこそものの上手なれ。ですよ。うふ。
さて。とある土曜日の昼下がり。場所は閑静な私鉄沿線。
「かいさ〜つぐ〜ちでぇ〜♪君のことぉ〜♪」待ち合わせた人と落ち合い、向かったのは「Salon Le Chemin」というイベントスペース。
どうやらここで、月に一遍のペースで「日本酒教室」と題した利き酒の会&懇親会が開かれているらしい。
紹介してくださったかた以外は 全員初対面の方々ばかりなので、いささか緊張の面持ちで席に付き、待っていると、酒屋前掛けをしたイケメンが登場。
本日の酒の講師、栗原信利さん。東京都町田市で「さかや栗原」を経営している酒の先達である。
今回のテーマは生酒。
通常の日本酒は、商品となって消費者の手元へ届くまでに、2回の加熱殺菌がおこなわれる。酒は造り終えてからも酵母は生きているから、気温が上がる春から夏にかけて変質してしまうのを防ぐために、1回は貯蔵される前に、もう一回は瓶詰めされる前。
この2回の加熱殺菌(通常、「火入れ」という)をおこなわないものを「生酒」と呼ぶわけですね。
ビールでも「やっぱり生が一番!」と感じるけれど、日本酒とて同じこと。
というか、最近、ビールによく使われる謳い文句「搾りたて」とか「吟醸仕込み」とか「一番しぼり」「淡麗辛口」なんて言葉は、本来 日本酒に使われていたもんなんでござるな。ビール業界は 日本酒の真似をしているのだ。
どうして生が美味しいのか。
可能なら 是非 酒蔵見学をして、今しがた搾ったばかりの酒を呑ませてもらうとよい。「搾りたて」とか「ふなくち」とか「あらばしり」と呼ぶ酒ですね。
ほんっっとに美味しい。新鮮な果物のような香り。
ピチピチ跳ねるシャンパンのような躍動感。
酒本来の旨味が 口いっぱいに広がる。
娘十八 番茶も出端ってな味。
もちろん。ゆっくりじっくりタンクの中で熟成された熟女…大人の女性のような魅力を醸すタイプの酒もある。
まぁ 好みですけど。
今回は このピチピチフレッシュ 小川もこのような…もとい、正反対の「生酒」を愉しみましょうってな寸法。
酒は「真澄(ますみ)」で有名な 長野県諏訪市の蔵元「宮坂醸造(株)」の六種が用意されている。

1.吟醸生酒 「真澄 生酒」
2.純米吟醸生原酒 「真澄 あらばしり」
3.山廃純米大吟醸 「真澄 七號」
4.山廃純吟生酒「みやさか 純米吟醸50」
5.純米吟醸「みやさか うまくち純米」
6.大吟醸「真澄 夢殿」
利き酒ってのは、本来、多くの酒を利き比べするなら 呑み込まずにペッと吐き出したりするんだけど、今回は六種類だけだし。ちっちゃなグラスに なにげに他のメンバーよりも多めに注ぎつつ、しっかり飲み干す。
うん。
うんまい♪
1. は4〜11月限定の酒で昔は蔵元でのみ飲むことが出来た酒。すっきり、さらっとして、ほんのり鼻の奥で甘い香りも感じる。
2. は「原酒」というだけあって、水を加えていないから17%とアルコール度数も高め。香り華やかで重厚な感じ。
3. は協会7号酵母という単一酵母を使用したもの。火入れは一回のみおこなっている。ナッツのようなアーシーな香り、重厚な酸味も感じるが、呑み込んだあとにイヤな感じは残らない。さすが。
4. は最後についている「50」というのは精米歩合(酒にするために酒米を磨く割合)が50%という意味。杏のような甘酸っぱい香り。生酒ならではのフレッシュさも全面にあふれている。
5. は美山錦を60%まで磨いた純米酒。木の香り、まるで樽酒のような独特のクセもあり、それが燗酒にしたらより活きるのでは?と皆で言い合う。
6. はもう…。この酒蔵の最高峰の大吟醸で、まさに夢心地へといざなう。薔薇やメロンのような高貴な香りが漂い、どこまでもするするとなめらかに入っていく。
同じ酒蔵の酒でも ことほどかように 味も香りも違うものよのぉ。
うーむ。 幸せでござる。
冷や酒と親の小言はあとからきく。。。の言葉の真意やら、
山廃づくりの素晴らしさやら、日本酒の愉しみかたのあれやこれや、いろんな話を皆でしたのだけれど、このころには もうお勉強モードでは全然なくなり。
そんなイイ タイミングを見計らって、これらの酒に合う、見事な肴が次々と登場。陽も高いうちから すっかり楽しい酒の宴となったわけで。

ちょうど、新潟の蔵元の杜氏さんから 我が家に嬉しい品が届いていた。
今年の全国新酒品評会にて ついに金賞を受賞したという。
諸橋酒造の「越乃景虎」。
麹室の環境、乾燥具合やら蒸米の状態など いろいろ改良して ついに勝ち取った栄冠。蔵人一同喜んでいます。と書き添えられた高橋孝一杜氏の 添えられていた手紙に感激し、日本酒好きな皆さまと 是非分かち合いましょう...と、この会に 持参した。
利き酒を終えて ホッとした雰囲気の中、皆さん、口々に「旨い!」
「綺麗!なのに 華がある」
「美しい味」
「ふくいくとしている」
「かどが無い、とげとげしさが無く
とにかくうまい」
「たとえようのない味」
と大絶賛。
良かったぁ。。。
これからも ますますアイシテ愛してあいしていこう、、と心に決めたのだった。
その後、カラオケに行こう〜っと盛り上がるギャルチームと別れ、我々 熟男熟女組は吉祥寺のジャズクラブへと繰り出し、今度は 美味しいジャズに酔いしれた。
牧水は「静かに飲むべかりけり」というけれど。
酒は 静かに 利くべかりけり。
ジャズは燃えて 聴くべかりけり。。。

佐江衆一「水明かり」


























