2005年07月

2005年07月24日

我ら善男善女♪4

 久々の伊勢神宮。空気の色が温度が透明度が違うと感じる。
何故なんだろう。千年以上昔からの大木の幹に手を当てると、どくっどくっと脈打っている気がする。黙して語らないのに、ちゃんとここに居るよと静かに語りかけてくる。
動かずとも生きている。しっかりと生きている...。


 7/22金曜日、人間力大賞の授賞式で私は審査員の一人として名古屋へ行き、式典と受賞パーティーに参加した。
そこで来賓&パーティーでのお祝いの歌の披露ということで、シークレットゲストで登場したのが、歌手の沢田知可子その人。
彼女の歌唱力は勿論、楽しくて、おっちょこちょいで、熱しやすくて冷めやすく、呑むと賑やかヨッパーで、人を愛し、歌を愛し、歌と言葉に言霊がこもっていて、必ず笑かして泣かせてくれる。そんな人柄が大好きで、仕事を越えての呑み仲間、友人としておつきあいをさせていただいているものだから、この邂逅に(って言っても3ヶ月ぶりぐらいだけど)に喜ぶまいことか♪
いきおい、終了後の2次会は今池の美味しい味噌とんちゃんの店「やぶ屋」で盛り上がったのだった。

翌々日の日曜日は「愛・地球博」会場のトワイライトコンサートで歌うとのこと。それじゃぁ明日の土曜日は一緒に万博見物いたしますか♪と誘ったら、サワチカ(沢田知可子を略してこう呼んでいるのよ)は甥っ
子や親を連れてプライベートで、もう2度も訪れているのだという。芸能人特権など使わず、真っ当に並んでの万博見物は疲れたけれど楽しかった。でももう充分。そこで、自分たちは明日はお伊勢参りに行くのだと。
うーむ。出前ヒルアヴェで伊勢路を取り上げたのはいつのことだったか。仕事モードでないお伊勢さん。巡るのは、また違った感慨かも...と便乗させてもらっての伊勢行とあいなったのだった。

サワチカ、いつでもどこでも一緒の仲良しご主人はアレンジャー&コンポーザー&キーボーディストのオノザワさん、マネージャーのコンノさん、そして私。大人4人のなんて楽しい遠足。
名古屋から乗る近鉄電車も、仕事で単身、津へ向かう時は長く感じる道のりが、皆で4人向かい合わせのシートにしてワイワイお喋りしながらだとアッと言う間。

マメなチカちゃんは廻りたいルートをネットで調べてプリントアウトして持参してた。ところが几帳面になりきれない(ゴメン!)彼女の為せるワザで、ルートがあっちゃこっちゃの動線。まぁ〜おかげで歩いた歩
いた。日頃の運動不足解消には最高だったよチカちゃん...!最初はタクシーで「猿田彦神社」へ。そこから天照大神の弟神・月讀尊(つきよみのみこと)を祀る別宮の「月讀宮」の道のりが遠くて。この道間違って
んじゃないの?と疑心暗鬼のコンノさんと私の足取りは重く、サワチカ夫婦の後をゆっくりついて行く。やっとたどり着いたそこはこの世とあの世を分けるほどに世界が違う空気感。鳥居の向こうは鬱蒼と木々が生い茂り、タイムトンネルを潜っていくような錯覚に陥る。杉、檜の香りも心地よく、一気に疲れや煩悩は吹き飛び、厳かな気持で4つの別宮に手を合わせ。来て良かった。静かにそう思う。

その後はまた歩き。でも、お伊勢詣では必ず外宮から!の慣習に従い、またあっちゃこっちゃな動線も、親切なタクシードライバーに巡り会い、貸し切り状態で外宮、内宮と、なんとか日没前にお参りを無事済ませたのだった。

ドライバーの西口さんがオススメの伊勢うどんは、専門店ではなく喫茶店のサイドメニュー。これがもう旨いの旨くないのって、あぁた!ほっぺた落っこちましたがな。湯気立ちのぼる太い?はモチモチもっちりと
した食感で、濃いたまり醤油の甘辛味が絡まって、香川の讃岐うどんや富山の氷見うどんの美味しさとはまた別物で最高♪御神酒ね!と入れたビールの味と相まって、ふぅ〜、幸せじゃ。

外宮参拝の後、昔のお伊勢参りの様子を和紙細工のお人形でジオラマ展示している資料館なども運転手さんの案内で見学し、いよいよ内宮へ。

ドキッとしたのは まさに内宮のお参りの瞬間だった。柏手を打って頭を垂れた直後、私の携帯の着信メールが鳴った。
正面を外した場所で見てみると「東京で大きな地震があった」の文字。東京以外の各地の知人からも次々に「大丈夫ですか?」と安否を気遣うメールが入る。丁度参拝のその時に大地震とは、いったいどういう皮肉だろう...

外宮を巡る時、なんと観光ガイド役をも買って出て案内してくれた運転手の西口さんが言うには、お伊勢さんでは願い事を出来るのは只一人、天皇陛下だけ。天皇は日本を司る人だからこの国を代表して「この国を
もっと良くするように」と願って良いが、他の者は御礼参りなのだと。
「おかげさまでした。ありがとうございます」と唱えるだけで、決して俗世な「彼氏が出来ますように」とか「お金が貯まりますように」とかそんな願いをする場所じゃないんだね。我々4人はじめ、そこに居合わせた善男善女の おかげ参り。
そんな皆の思いが通じての、今回の地震の犠牲者無しだと信じたい。

それぞれの家族・友人の安否も確認し、ホッとした我々は、暮れなずむ宇治山田駅の駅前、ここも親切な運転手さんに聴いた宮家御用達の割烹といっても廉価な店「大喜」で打ち上げ。名物手こね寿司とごま豆腐の
天ぷらが殊の外美味しく、酒の杯も進むのだった。帰りのサロンカーのシートで、おかげ横町で土産に買った赤福をデザートに食した後、4人全員高いびき。熟睡のまま名古屋に戻って、それじゃぁまたね、とサワチカ一行と別れ、帰京したのでした。

あ〜ぁ、楽しかった。大人の遠足。良いもんだ。
また行こうね。


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2005年07月18日

すごいぞ!落語5

 銀座で落語を楽しみました。
春風亭小朝・笑福亭鶴瓶・林家こぶ平改め正蔵・立川志の輔・春風亭昇太・柳家花緑という錚々たる顔ぶれの「六人の会」が主催、銀座通連合会・全銀座会が後援しての「大銀座落語祭2005」
7月16〜18日の土・日・祝日3日間。銀座の7つの会場が昼も夜も大きな笑いの渦に包まれました。

長瀬智也の主演で落語の世界を描いたドラマ「タイガー&ドラゴン」の大ヒットもあり、昨今、若者にも空前の落語ブームとあって、どの会場も前売り券は完売の超大入り満員。
今年は落語祭自体に「上方落語がやってきた!」のサブタイトルがついての、東西の噺家の夢の競演です。
私が出かけたのはガスホールの3日目夜の部。キャパ340名の 落語を聴くにはとても良い環境。立ち見の観客も大勢いました。
今回行こう!と思い立ったのは、上方落語の桂雀々さんの落語にとことん惚れ込んでしまったから。この日のトリを飾ると聞いて、彼の出演するガスホールへといそいそ出かけたのでした。

いやぁ〜〜、すごい。面白い!!七人七様、みんな違ってみんな良い。
皆 出し物はよ〜く知ってる古典落語。だけど攻め方が全然違う。東京の落語と大阪の落語。東西の言葉の違いは勿論のことですが、枕の話題の選び方、喋りのテンポ、表情、間合い、噺のさげかた。

2回の休憩を挟んで、5時半から延々4時間の迫力の話芸。
これが たったの1800円で聴けたのは、もう〜この大銀座落語祭だからこそ。嬉しい料金設定です。
すっかりクセになってます。これからどんどん寄席に行こう。そして、この大銀座落語祭。来年は時間の許す限り、観られるものは全部観よう!と 今から心に誓うのでありました。

それにしても、落語っていいな。大概は市井の無学で貧しい主人公たちの けれどもなんと人情あふれ人間らしい生き様なんだろう。それをユーモアと愛でくるんで表現してる。日本語の素晴らしさにも、あらためて気付かせてくれる。
落語 ばんざ〜い。

第1部<立川志らく&林家たい平二人会>
「青菜」   林家 たい平
良家のご隠居さんとおっちょこちょいの植木職人の会話のやりとりがテンポよく、楽しい。
鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官…ほぉ、義経、義経。このフレーズがしばらくマイブームでしたよ。

「火炎太鼓」 立川 志らく
枕は立川一門の話で非常にブラックユーモアな展開。けれども噺は最もスタンダードな火炎太鼓。 
きっちり聴かせてくれました。

第2部<東西夢の若手会>
「七段目」  桂 吉弥 
昨年の大河ドラマ「新選組!」で山崎くんを演じた吉弥さん。歌舞伎芝居に夢中の道楽息子を、歌舞伎の口調そのままに演じる様、これぞ話芸の節回し、立ち居振る舞い、佇まい、全てが美しい。
笑いのツボにはまるというよりも、聞き惚れさせるタイプの噺家だな。

「宇治の柴舟」桂 梅団治
絵に描かれた女性に恋をして病の床に伏した若旦那を養生にと宇治へ連れていく熊さん。
そこで絵にそっくりの女性と巡り会い...ほのぼの語る梅団治さんが良い味だしてました。
 
「三味線栗毛」柳家 喜多八
錦木という按摩と殿様の人情噺をやる気なさそう〜に喋る喜多八さんの独特の世界観で届ける様がいとあわれにおかしけれでした。

   <仲入>
「包 丁」  立川 談春
枕は一切無く、いきなり本編に入る潔さ。談志ゆずりの鋭い切り口、小気味よいテンポが 包丁を使った刃傷沙汰の噺に一気に引き込んで行く様は見事。若いファンが多いんじゃなかろうか。

「夢 八」  桂 雀々
最後の最後にお目当て雀々さん登場!ここまでクスクス笑い、ブラックな笑い、考えオチな笑い、様々な笑いが展開されてきましたが、彼が送り出す笑いはまさに王道、正しい笑いって気がする。
膝立ちし、歩く、ぶら下がる、飛び上がる、化け猫が徘徊する... 首つり死体の番をするという夏に相応しい怪談の要素も持ち合わせるこの演目を、身体全体の躍動感で表現する雀々さん。文句なく楽しいのだ。そうして、雀々さんが常々おっしゃっていた
「自分は人の"かわいげ"を表現したい」ということ、見事に体現しています。
世の中の弱者、敗者をも可愛いと思わせる、生きてるって素敵だなと感じさせてくれる彼の噺。
やっぱり好きだなぁ。次は10月の独演会。楽しみにしていよう。



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2005年07月15日

ルーブルは パリに行かずに横浜へ4

7月15日(金)横浜美術館に「ルーブル美術館展」を観に行きました。

7月18日まで。4月からずっとやっていたというのに、あと数日で終わるというギリギリになって重い腰を上げるていたらく。でも、かつてフランスはパリで、ルーブル美術館を観賞した時は、あまりの広さと冬の冷え込みに、すっかり具合が悪くなって、モナリザやら主だったものしか印象に残っておらず、これじゃいかん!と思い立ったわけ。

今回、パリのルーブル美術館の膨大なコレクションの中でも傑出しているフランス革命、ナポレオン帝政から二月革命にいたる激動の時代の厳選された73点フランス絵画に焦点を絞って展示ということで、この量なら具合悪くはならないだろう...。なにしろ私は大きな美術館が苦手です。結果的に凄い距離を歩くことになるからね。NYのメトロポリタン美術館でも死にそうになった苦い経験が。ってな話はさておき。

車で向かったのですが、駐車場から表に出て驚く。ここは愛・地球博かディスニーランド??かと思うようなとぐろを巻いた長蛇の列!最後尾のプラカードには、1時間10分待ち!の文字。一瞬軽く目眩を覚えながらも、ここで諦めちゃならじと気を取り直して並び続けること20分。あら。案外すんなりと入れてしまいました。表示は大げさだったのねぇ。

入っていきなり、有名なアングルの「泉」の絵。辺りを見回すと皆、手に手に大きな携帯電話状のものを耳に押し当て観賞してる。音声ガイドだ。
これ、以前パリのオルセー美術館で借りた時、日本語の音声でとても丁寧に解説してくれていて、ただ漠然と眺めるより良かった記憶が蘇る。よし!と一念発起して(ってほど大げさじゃない、金500円也)借りて、眺むれば、ほほぉ、この裸婦像は泉を人間の姿に変えて表現しているのね。
なんて、観ているだけじゃ解らない情報が提供されるのが嬉しい。

それにしても、全くもの凄い数の人、人、人。。。いったい、どこからこんなにたくさんの人々が湧いて来ているのでしょう。善男善女。暑いさなか、絵画鑑賞してるなんて皆、善人に見えてしまうのだなぁ。若いカップルが多いのもなんだか嬉しい。テーマパークで過ごすばかりがデートじゃないもんね。女の子がずんずん彼の手を引っ張って観賞していたりとか、
「この絵、話し声が聞こえてくるようね」と賑やかに感想言い合ったり、
「私、中世の衣服にとても興味があるの。研究して、出来れば自分でアレンジして作って来てみたい」
などとと熱っぽく語る18才ぐらいの学生とか。観賞している人々のマンウォッチングもまた楽し。
夫唱婦随な老夫婦が穏やかな笑顔で眺めている様も いとおかし。ええなぁ。
全ての芸術は 嫉妬するほどにええなぁ。
なぜ、関西弁がわからぬが、一人言ちながら、眺め歩いたのでした。

一番心奪われたのは「アモルとプシュケ」。
http://www.ntv.co.jp/louvre/04/03.html
横たわる絶世の美女プシュケの裸体のなんと美しいことでしょう。この透き通るボーンチャイナのような柔肌。うぅむ、、、触れてみたい。

迷わず、今回の展示の図録も買い求めたのですが、家に帰ってページを捲るに、やはり本物にはかなわない。写真じゃ質感やほんとの色、大きさが全くわからないもの。絵を観よう。もっと本物を観よう。そう決意もしたのでした。

気が遠くなりそうな本家ルーブルの広さと違って、満員ギューギューすし詰め状態でも1時間半もあれば観賞完了。器としても、ここ、みなとみらいに出来た横浜美術館は良いところです。お土産に、マグネット集めている友人のために「トルコ風呂」のマグネットと、自分には「アモルとプシュケ」のカードミラーを買って、その後は食い気に走り、美味しい寿司をつまんで帰ったのでした。

あぁ、満足満足。
        心もお腹も。満たされましたぁ。



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2005年07月12日

十二夜5

7月12日(火)銀座の歌舞伎座で歌舞伎「十二夜」を観賞しました。

イギリスの生んだ大劇作家シェークスピアが書いたロマンチック・コメディー「十二夜」を、菊五郎劇団が演じ、日本を代表する演出家・蜷川幸雄が演出するとあって、前評判も高く、ワクワクしながら出かけまし
た。『ハムレット』『リア王』『夏の夜の夢』等のシェイクスピア作品の演出で世界的に高い評価を得ている蜷川さんですが、彼が歌舞伎を演出するのも初めてなら、このシェークスピア劇が歌舞伎となるのも初めて。

今回の主役を演じるのは尾上菊之助。あの尾上菊五郎と女優・藤純子の間の息子ですね。父・菊五郎共々、一人二役(三役)で演じています。
世の中暗いニュースが多い中、せめて明るい気分になってもらえたら...と喜劇を選んだのだとか。もう期待は膨らむばかり。
ここのところの歌舞伎人気の高さから、歌舞伎のチケットを手に入れるのは至難の業となっています。やっと観られる!たとえ3階席であっても幸せ気分は最高潮。幕の内弁当もちゃんと準備して、ぎっしり超満員のお客さんと共に固唾を呑んで開演を待ちます。

オープニング。幕が開いた途端、「おぉ、、、」という大きなどよめき。
向う一面が、鏡なのです。歌舞伎座の客席がお客さん全て丸ごと、その一面の鏡に写し出され、驚きのどよめきだったのね。
そうして、鏡の向うに明かりが入ると、その鏡が透けて、一瞬のうちに人々の顔・顔・顔は消えて、一面春の、あな、優雅にしてたおやかな世界が広がっていて、また「おぉ、、、!」桜の花びらがちらほらと舞い散る中、舞台の中央にも満開の桜の木。その前にバテレン風衣装の少年達の合唱隊とチェンバロの奏者。上手には合いの手の鼓。洋の東西を越えた楽器の響きの調和がまたなんとも見事です。
それにしても、アールデコ調のなんと美しい舞台なのでしょう。これだけで、このシーンだけでも、今回の蜷川演出の成功を確信してしまいます。
そうして花道から歩いてくる三人。(鏡の御陰でどの席に居ても花道が見えるのが嬉しい♪)あまりに幻想的な始まりに、早くも 見事に観客の心を鷲掴み。3人が進む様は、鏡の効果もあって桜並木の中を歩んで
いるような...まさに花道。

その後、舞台の床面全てに映し出すブルーの照明効果で大海原のシーンに変わり。モーゼの十戒の如く、パカッと真ん中が割れて登場する船。そこに乗った美しい若武者主膳之助と琵琶姫。早替わりの菊之助の美し
いこと。博多人形にしてずっと飾っておきたい。菊之助の、男女の早替わり、ラストのほうの主膳之助と獅子丸の入れ替わり立ち替わりの登場も本当に楽しい。

蜷川さんはよく鏡を使われるようですが、今回、人間の外面内面の二面性や、陰と陽、虚と実、男と女、本来の自分と異性に化けている自分...あらゆる「二」が鏡によって浮き上がらせているようで。感嘆。

ストーリーは原作にかなり忠実ですが、登場人物名は全部元の名前をもじった日本名になってこれも微笑ましい。大海で遭難した双子セバスチャンとヴァイオラが斯波主膳之助と琵琶姫。別れ別れに生き延びますが、琵琶姫は獅子丸という青年に身をやつし...

本当は女なのに男に扮装するというところが、歌舞伎の女形だからこその自然な演技で、男のふりをしながら時々思わず女の声に上ずるなんて、実に面白く、菊之助は会場の大きな笑いを呼んでいました。

菊五郎パパも丸尾坊太夫と捨助の二役を演じてましたが、台詞が入ってないのかな?(あぁ、他人事ではない、、!)トチリが多かったのはご愛敬。台本の完成が相当遅く、あれだけの量の台詞を本番前10日間で仕上げたという話ににべなるかな...。よく憶えられるなぁー凄いなぁ。ちょっとの台詞であっぷあっぷしてる場合じゃないぞ!小川!!と自分に喝。菊五郎の存在感はやはり絶大で、声の響き、所作、動き、全てが決まってる。狂言回し役の捨助が特に粋で。

尾上松緑が演じるアホウの右大弁安藤英竹(=サー・アンドルー)、もう衣装からアリエナイぃ〜!な破天荒ぶり。ショッキングピンクのラメラメのブーツに衣装もキラキラピンク、指全部におっきな指輪♪顔も白塗りにほっぺグリグリのアホウメイク。おもしろ過ぎ。

ゆっくり歌舞伎を観賞したのは随分久しぶりでしたが、古典の演目と違って、言い回しも現代口語に近いため判りやすく、何たってコメディー。
いたるところ、笑いの渦が広がり、本当に楽しい舞台でした。お客さんも蜷川演出とあって、普段は現代劇を観ているような若い人も多かったです。
友人が音声ガイドを借りておいてくれましたが、その必要もほとんどないほど。でも、時代背景や、場面設定、登場してきた人物を瞬時に説明してくれるなど、痒いところに手が届く解説は歌舞伎初心者にはとても嬉しい。

三幕、50分間の休憩も含めると、4時間50分もの長い長い時間。でもその長さを感じさせない、心豊かになる至福な時を過ごしました。歌舞伎座の椅子の間隔が狭くて、足を組む事はおろか、膝をまっすぐにもしていられなかったのには閉口しましたが、身体がコチコチになるのと反比例して心はほぐれ、ヤサシイキモチが溶け出してくるのを自分で感じます。

良いなぁ。クセになる。日本人なら日本古来の文化をちゃんと知るべく、古典芸能、鑑賞する機会をもっともっと増やしていかないと。だなぁ。

mokomoko43 at 22:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ! 芸術 

2005年07月11日

モニター画面4

 無事、富山でのthe MOST with 越智順子ジャズライブが終了しました。

the MOST は、私が担当するFMとやまの番組「For You 未来倶楽部」での共演がきっかけで5年前に誕生したバンドです。それが縁で、富山でのライブ開催が始まって早5年目。過去4年間は八尾町有志の方々が実行委員会を作って運営して下さってきたものを、今年はFM富山開局20周年という冠の下、初の富山市街地での公演で、主催もFMとやま。さらに会場も今までのほぼ2倍のキャパシティーということで、プレッシャーも大きく、チケットの売れ行きが 非常に気になっていました。

観てさえもらえば、他の追随を許さぬ彼らの圧倒的テクニックと人を惹きつけるトークの面白さ、人間的魅力で絶対満足してもらえる自信はあります。でも、来てもらえないことには...。

あにはからんや、八尾の皆さんの全面協力の御陰と FMとやまでのヘビーローテーション告知も功を奏し、本当にたくさんの皆さんにお越しいただいて、安堵の胸をなで下ろしました。ヒヤヒヤそわそわしながら、あらためてチケットを売るということの大変さと今までの八尾の実行委員会の皆さんのご苦労を知り、7月5日は 感謝感謝の夜となったのでした。

 バックステージの楽屋にはテレビモニターが置いてあります。一人、司会者用の楽屋に控えていた私、暇を持て余して何かテレビ番組でも観ようとリモコンを操作しましたが、出てくる画面はステージ上や廊下、客席を映したものばかり。

その一つに入り口の様子を捉えている映像がありました。

入っていらっしゃるお客さんの表情まではっきり判るなかなか優れもののモニターです。
いつもはステージの上からばかりで、なかなか一人一人の様子はうかがい知れません。どれ、どんな方々が来てくれるのだろう、、とモニター画面の前にどっかと座って眺めました。

開場時間の午後6時。チケットもぎりの担当、CD販売、次回のコンサートチケット販売、、とスタッフの準備態勢も万全。ところが全然お客さんがやって来ません。今回は全席指定にしたので、皆ゆっくり来るんだろうなと思っていても、もしかして一人も来なかったらどうしよう...不安が胸をよぎります。

6時5分。最初のお客様の姿が!和服に身を包んだ上品で素敵な女性でした。ニコニコと微笑みながら入っていらっしゃったそのお顔に、じぃぃぃっと見入って、思わず「ありがとうございます」と呟いてしまいま
した。その後は続々と、若いカップルあり、熟年夫婦あり、野郎同士、女の子同士、会社帰りのネクタイのままや、お買い物帰りか荷物いっぱい抱えたかたや、ふら〜っと独り、かなりご年配のかたや。あぁ、こんなにも老若男女、いろんな人が来てくれたんだなぁ.... 。ひとりひとりに手を合わせて拝みたい気持でした。

お金を出して わざわざ足を運んで来てくれるって 大変なことなんだよね。
勿論、今までの八尾ライブの時も、他のイベントやコンサートの時も、当然判っていたことなのだけれど、今回あらためて お客様がいて初めて成り立つことなのだということに気付かされた次第です。
なにを今さら...ですよねぇ。。。

the MOST と越智順子は そんな皆様のお運びに応えて余りある、本当に素晴らしいステージを展開してくれました。

喜怒哀楽を浮き彫りにしたような躍動感あふれる多田のサックスの響き。
メロディーやリズムを奏でる以上の心象風景を届け続ける石井のピアノ。
心臓の鼓動のように 胸の真ん中にじんじんと響いてくる上村のベース。
予想を裏切る超絶技巧と胸を空くビートに皆惚けるのみ大坂のドラムス。
これぞ史上最強の男達 the MOST 。
そこに第2部、オチジュンが加わり、その歌がそのユーモアと人柄が作り出す圧倒的世界を前に会場内は皆、幼子のように素直な気持ちになってニコニコウキウキ楽しんでいるのが立ちのぼる湯気のようにはっきり感じられます。
the MOST もアグレッシブな第1部とは全く違う、艶やかでリラックスした魅力を醸し出し。
オリジナルとスタンダード。ジャズの真骨頂のそれぞれの姿のせめぎ合い。
常に それまでの最高、最上を送り届ける彼らを心より 尊敬。感謝。

モニター用紙には
「胸躍り、心騒ぎ 久しぶりに青春に戻り楽しかった」(60代女性)
「エキサイティング。頭も心も元気になりました」(50代男性)
「3回目でようやくJAZZに馴染んできました。最初は”なんじゃ?”と思っていたのですが、素晴らしかったです」(40代女性)
「とても迫力ある演奏でモヤモヤが解消しました」(30代男性)
「JAZZは初めてですが心も体も熱くなりました。ステキな贈り物をありがとう」(40代女性)
「生きる力をいただきました」(50代女性)
「ジャズライブなのに、大笑いしてしまいました。家を出る前、ちょっとブルーな事があったのですが、吹っ飛びました!」(30代女性)
「大人のバンドなので来た。一人一人が個性的、特にドラムス素晴らしかった」(70代女性)
「それぞれがずっと凄くて、拍手のタイミングがつかめなかったほど!」(20代男性)
「音楽で会話しているのが素晴らしい」(20代女性)
などなど 小さな感想を書く欄に ぎっしりと嬉しい言葉が並んでます。
なかには、
「やっぱりです。やっぱり心がかなり疲れてました。今日は午後を半休にして金沢で旧友と再会、そして夜に極上のエンターティメント!もうほんと気持が楽になりました。ありがとう」(50代男性)
という記述もありました。

そうだね。
疲れてる人には優しい温もりと肩揉みほぐすような癒しを、刺激を求めている人には元気と活力を。
彼らの届けるジャズは どんな医者より薬より 心と身体に効果有りです。またいつか たくさんの人と この楽しさを感動を分かち合いたい。その時には 是非 あなたもご一緒に。。。!



mokomoko43 at 22:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ! JAZZ 

2005年07月04日

明るい未来は5

 本日、入場1千万人を突破した「愛・地球博」。先週末、二度目の取材をする機会を得ました。あいにく雨模様の天気でしたが客足は衰えず、一番人気の日立館などは220分待ちの表示。人気の企業パビリオンはどこも長蛇の列。とは言うものの、比較的スムーズな流れなのは、スタッフも相当慣れてきているし、予約システムを賢く活用するなどお客さんも心積もりが出来ているためでしょうね。夜間入場は半額、、など嬉しいシステムも出来、プレス公開の時に感じたものとは違った好印象を、会場のそこここで持ちました。

万博です。大阪から35年ぶりという滅多にない国際イベント、是非、一人でも多くのかたに体験してほしいなぁと思うのです。

 面白かったのは、某外国パビリオンで働く日本人アテンダントに聴いたお話。
全世界から様々な人が参加している万博。そこで働く人々の間で いきおい、国境を越えての恋の花が咲くことも多々あるようで。最近は、各国パビリオンで 閉園後、親善パーティーも開かれ国際交流ますます盛
んな中、次々にカップルが誕生しているとか。そんなひと組、とあるラブラブ気分の高まったカップルが、二人きりの時間を過ごそうと普段は開かずの間であるVIPルームのドアを開けると...! そこには別のカップルが超アツアツ場面を展開中だった...とまぁ、恋に国境はございませんわな。閉会後には、国際結婚カップルも多数誕生しそうな勢いなんですって。羨ましがってる貴方、今からでも遅くない!さぁ万博で働こう♪

 おおむね好感度アップの今回でしたが失望させられたことも。そう、プレス公開時、感激した!と、もこまぐでも報告しましたグローバルハウス内『スーパーハイビジョンシアター』です。
NHKが開発した一画面あたりの情報量がハイビジョンの16倍という世界初の超高精細映像システム! これが600インチの大型スクリーンに映し出され、息を呑む感動なのですが...この7月から上映内容がチェンジしたということで、更なる期待を持って臨んだのに、ちょっとがっかりでした。
画面は当然、スーパー綺麗。でも前の映像で展開されていた、祭りや、一面のヒマワリといった地球上の生命体から感じる躍動感...つまり「生きる喜び」といったものが新バージョンでは感じられないのです。ただ森や山や路傍の石仏を映す。それはそれで良いんだけどね...。夏川りみさんの歌に乗せて、手話をしながら見せていた子供達の活き活き表情も無い。
NHKに断固抗議申し上げたい!
  前のほうが良かった。元に戻して下さいぃぃ〜!

 さて、訪れた先週金曜日はセンターゾーン愛・地球広場にて嘉門達夫さんのトワイライトコンサート3days の2日目にあたる日でした。

これも楽しみにしていたのに時々本降りとなる無情の雨。この日の昼のイベントは石井竜也総合プロデュースで人気のパレード&ショー「精霊たちの森林舞踏会」はじめ、各国の芸能イベント等も、のきなみ中止。
天気の良い日ならこの広場、青い芝生の上で家族連れなど思い思いにステージを楽しめるキモチの良いスペースなのに。前日の嘉門さんライブは5千人の聴衆で埋まっていたそうですが、今は100人ほどがぽつぽつと、屋根付きスペース下や、最前列に傘と合羽で雨をしのぎながら陣取って待っています。このコンサートも中止となってしまうのかしらん...と不安なファンの方々と共に、空とにらめっこしながら 午後7時の開演を待ちました。

すると、開演予定の30分前、いきなりステージバックのオーロラビジョンに大写しになったサングラスの男性。わぁ〜い嘉門さんの登場だ♪あれ?手にはギターじゃなく、傘を持ってる...?! なぜ?

登場するなり、嘉門さんの口から出た言葉は「雨のため今日のコンサートは中止ですぅ」
えぇっっ?!そんなぁ、、、悲鳴のような落胆の声が 待っていた皆の口から漏れます。
「でも、せっかく雨の中、待っていてくれた皆に悪いから、とりあえず登場しましたぁ。こんな上にいるのもなんだから、、」と、なんと彼はステージを降りて最前列の芝生のほうへ向かってくるではありませんか。
喜ぶまいことか、屋根のある場所からもみんな走り出てきて、ステージ前はたちまち黒山の人だかり。車椅子の女性の姿も見えます。触れんばかりの嘉門さんとの接近に驚いたり喜んだり、「えぇ〜、携帯で写真を
撮ってる人〜、」(あ。写真撮影は禁止って言われるのよね、きっと)
「どんどん撮ってもえぇよぉ〜」とユーモアたっぷりに嘉門さん。もう全員が至近距離からデジカメや携帯でパチパチ。後で聴いた話では、スタッフが「ギターや機材も濡れては使えませんし、中止にしましょう」
と言ったとき、待ってくれてる人がいるなら、カラオケの歌だけでも歌う、、と言ったのだとか。そうして替え歌メドレーと、もっと聴きたい〜の声に応えて『明るい未来』を歌ってくれたのでした。

この曲は ちょうど大阪万博の頃の日本の微笑ましい家族風景を ほのぼのと歌っている佳曲です。近未来の鉄腕アトムに登場するような大阪万博のパビリオンや展示物を観て、1970年当時小学生だった万博少年・嘉門さんはじめ、皆 こんな未来が来るって思っていたよなぁ。

♪明るい未来を信じてた 豊かな時代を目指してた 
希望があふれてた 
すべてがキラキラ光ってた 平和が続くと思ってた 
あの日に帰りたい♪

と歌うこの曲、実は懐古趣味でもなんでもなく、今の私達が忘れそうになってる大事なものを根底に秘めてます。高度経済成長期の日本が元気だった時代に 皆が夢見ていた明るい未来。いざその未来となった今、あの頃思い描いていた「明るい未来」をほんとに生きているんだろうか・・。
もいっかい、大事なものを探してみようという強いメッセージが感じられる『明るい未来』は私が一番好きな歌でもあります。歌詞を噛みしめながら聴いていると、おっといけない、目頭に熱いものが溢れてきました。
傘で防ぎきれない雨で黒いジャケットの肩を濡らしながら熱唱している嘉門さんの姿が、目の前のオーロラビジョンでは大写しになってます。

今、そこにある大切なもの。そばにいる人に対する優しさ、思いやり。嘉門さんの行動から歌から、彼の思いが 雨に濡れそぼって会場内で聴いている私達に びんびん伝わってくるのです。

たった2曲だったけれど、歌い上げた彼が「そんなわけで今日のコンサートは中止ですぅ♪」と去っていくとき、「ありがとうー!!」と大きなかけ声が 会場の中から湧き起こりました。

届けた。届いた。そんなキモチのやりとりを目の当たりにしたようで、私はまた 猛烈に感動してました。
あの日、あの場所で彼を見つめ聴いていた皆の胸に宿った "心" の本質。
放送やイベントや 色々なシーンでお客様と対峙する仕事でもある私。
あらためて嘉門達夫さんにかけがえのないものを教えてもらった この雨の中の「中止宣言でもちょっとだけよコンサート」は どんな大観衆と共に聴いたベストコンディションのライブよりも心に残るものでした。


 会期間中、いろいろな感動のやりとりが この愛知の長久手の地には これからも繰り返されていくことでしょう。そうして。愛・地球博 歩いてみると きっと。

きょうこの日から ほんとの明るい未来をつくるのは 
自分自身だってこと 気付かされるかもね。



mokomoko43 at 22:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!   | 音楽・放送