09847298.jpg『横濱ジャズプロムナード2008』。10/11,12の2日間に渡って、横浜の街がジャズであふれる音楽の祭典がおこなわれ、私は初日の土曜日に行ってきました。

今年で16回目。大きなホールから横浜ならではの歴史的建造物の講堂を使ってだったり、小さなジャズクラブだったり。全部で35の会場に延べ2,386名のミュージシャンが出演、13万2千人のお客さんが来場したとか。

成熟してきてますねぇ〜。

私が会場に着いたのは午後1時。場所は横浜市開港記念会館。
大正6(1917)年に創建されたとってもレトロで美しい建物です。

煉瓦造りの内部は なんて格式ある西洋造り。天井の美しさにも目を奪われ。こんな場所でジャズを聴ける悦びにワクワク。cbd12752.jpg
まずはテナーサックス奏者の中村誠一& JAZZ CREWのステージ。タモリさんの「今夜は最高」はじめ、テレビでもお馴染みの誠一さん&彼が教鞭を執る洗足音大出身者チームといったカルテット。

誠一さんのサービス&エンターティメント精神が光る演奏です。
500キャパの会場は1階2階のぐるり通路が ぎっしり立ち見となる超満員。
大人なフレージングのテナーは勿論、ピアノの片倉真由子作曲の「ポートレート・オブ・フレディ(・レッド)」では、アルトサックスを聴かせてくれました。
片倉は 洗足音楽大学を卒業後、バークリーからニューヨークのジュリアード音楽院で勉強してきたというだけあって、今のニューヨークを感じさせるピアノ。ジュリ・アレンみたい。ごりごり。もっと行間を埋める柔らかさが出てきたら、さぞかし良い感じになるのでは?でも、日本で もてはやされている女性ピアニストとは一線を画して居る佇まいがいい感じです。これからがおおいに期待できるピアニストと出逢えて、ハマに来て良かったなぁと早くも興奮。


つづいて、関内ホールへ移動。

酒井俊オーケストラが聴きたくて向かったのですが、ちょっと早く着いたので、小ホールを覗きました。
ヒカシューなるバンド。たしかテクノポップだったよね?
聴いてみて びっくりくり。
巻上(まきがみ)公一の歌とテルミン(あのブニョンブニョンの音色のまか不思議楽器)の演奏は もうほんとにぶっとんでいて、楽しすぎです。
こわいくらいです。
最初は そのユニークさに大笑いしながら聴いていたんですけど、あまりにエキセントリックで(^^;)、3曲聴いたところでお腹いっぱいになって小ホールを後にしました。他にもどんどん出ていく人、続出。
「バンド名からポップな世界を想像していたんだけど、違ったね...」と話している女の子達の感想を聞き、苦笑い。
とにっかく、個性的です。

関内ホールの大ホールに戻ると、リハの真っ最中。こちらもアングラな風を ちょびっと感じます。

ヴォーカルの酒井 俊さんを取り囲むように半円形に配された 楽団の面々。
チューバが入ったり、板橋文夫&カルメン・マキさんのNHKセッションに共演していたヴァイオリンの太田さんだったり。
ピアノは森山威男バンドの雄、田中信正。相変わらず靴を脱いでピアノに向かってます。
演奏はちょっとフリージャズの香りがする中央線沿線系。
俊さんのヴォーカル ますます個性的です。声のダイナミクスがとにかく広くて、ささやくような歌声からマイクを5~60cm離してもびりびり来るようなオペラ歌手然とした声まで。
日本語の唄が ほんっと沁みるんです。
ヨイトマケの唄に ほろっときて じわんとあったかい気持ちのまま、小ホールへ。

岸ミツアキトリオです。
ぎっしり超満員なんで、入れません、、と実行委員に門前払いにされそうになるも、なんとか中へ。
下手の扉前に立ち見で張り付いて聴きました。
爆笑トークが 長い、長い♪ ほんとサービス精神旺盛な岸さんです。
もうすぐドイツへ演奏旅行に行くらしい。
出身地である和歌山の賞をもらったとかで、紀州にちなんだ「てんてんてまり」をジャズアレンジで。
[ユッビーソー...]や[朝日のようにさわやかに]、最新アルバムから何曲か。

最後に今年鬼籍に入ったオスカー・ピーターソンの話を披露。
ピーターソンの演奏を聴きに、毎晩ジャズクラブに通ってくる白人初老ファンが居たそうです。
ある夜、嬉しくて「いつも来てくださってありがとうございます。」とピーターソンがその老人へ手を差し出したところ、
「私は貴方の演奏はとても素晴らしいと思っている。だから毎晩ここへ来ている。でもね。わしは、黒人とは握手をしない主義なんだ。」との言葉が返ってきた。
オスカー・ピーターソンは どんなに打ちのめされたことか。

黒人音楽がルーツであるジャズという音楽は、こんな人種差別の逸話が数々残る、いや今もある音楽なのだとあらためて実感し、悲しくなるエピソードです。
岸ミツアキは その話を淡々と話した後、世界の民族を越えた平和を願うメッセージをこめて作曲されたピーターソンの「自由への賛歌」を演奏して幕。
大笑いの連続だっただけに、真摯な言葉と演奏が心を打ち、皆、満足な表情で小ホールを後にしていきます。

「もこさんですよね?」会場で、セッションふぁンに声をかけられるのも 恥ずかしい。


もう充分だね。今日はこれで打ち止めにしようか、、と駐車場に向かったのですが、開港記念館の近くだから、、と 最後に向井滋春さんのクインテットを聴くことにしました。


今年の横濱ジャズプロムナード、私の〆、トリを飾るのは このバンド。

素晴らしい。
心底 グルーブしてる。
一人一人の力量が音楽性が高レベルで ゆったりと身をまかせ、その上でたゆたうのがとっても心地よいのです。
スタンダードの「エミリー」に続いては、向井さんのオリジナル曲。これがなんとスリリングでエキサイティングであったか。
殊勲賞は ドラムの小山太郎。
彼の自在なドラミングは さらに円熟味を増していると感嘆しました。
加藤慎一のベースも 唄っていた。
相変わらず 空中浮遊の術で弾く井上祐一も ばりばりのストレート・アヘッドなジャズで聴いて気持ちが良い。
池田 篤のアルト。
昔の古いセルマーから変えたのね。音が伸びやかで明るく感じられます。
でも、やっぱり通好みの音色とブロウは変わらず 素晴らしい。好きだなぁ。

そして、なんといっても 向井さん。

もはや、演奏してるって感じじゃないの。
生きる営みとしての息づかいが 鼓動が 声が 喜怒哀楽の言の葉が トロンボーンから溢れて来る感じ。
ちょっと痩せてやつれているように見えるけど、
その演奏の凄さは 比類無いもの。
来年 演奏生活40周年を迎えるとのことで、何かそのお祝いのお手伝いを 私もかかわらせてもらえるといいなぁ。

13:50から20:40まで。
およそ7時間の間に5つのバンドのジャズ。いろんなタイプのジャズ聴いて。
ほんっとに しあわせ。いわゆるジャズフェスとも お仕事とも違う。

横浜らしい会場で箱で聴くジャズ。
いいもんだね。

神戸、高槻、徳島、新潟、、、全国いろんな地でおこなわれている 出入り自由のジャズのお祭り。

これからも もっともっと愛されて盛況で と願う一日でした。