a52d4a0e.jpg 余暇はあるものではない。つくるものである。

久しぶりに仕事が入らない水曜日。
よし!今日は映画鑑賞デーに充てるぞ〜!と決心し、どれを観ようか考えた。

先週のTFMパーソナリティーカレッジで、生徒がリコメンしたのが「シネマ歌舞伎」。
これがよかろう...と、現在 横浜のMOVIX本牧で公開中のシネマ歌舞伎をポコポコと観に出かけたのでした。

シネマ歌舞伎ってのは、文字通りシネマで観る歌舞伎のこと。
歌舞伎の舞台公演をHD高性能カメラで撮影して、それを映画のスクリーンで上映するという、松竹が開発した映像作品。決して映画ではない!ってところを松竹では 力説してます。
野田秀樹・作・演出の新作歌舞伎『野田版 鼠小僧』がシネマ歌舞伎の最初。
2005年1月東京は東銀座の東劇での公開を皮切りに、京都、札幌、大阪、埼玉、新潟、福岡、名古屋といった全国主要都市で上映し、現在は第8作「刺青奇偶(いれずみちょうはん)」の公開が始まってます。
私はその一つ前の第7作、「らくだ」と「連獅子」の二本立てを観たのでした。

およそ1時間弱の作品が10分の休憩を挟んで続きます。
まず「駱駝(らくだ)」。これは傑作古典落語が題材で、フグに当たって死んじゃった通称「らくだ」の馬太郎(片岡亀蔵)。その仲間の半次(坂東三津五郎)が通夜を出してやるために、屑屋の久六(中村勘三郎)と共に家主にかけあうのだが、とりあおうとしないので、家主の前で死人を担いで踊りを踊らせるという、実にユニークな作品。
昨年8月に銀座の歌舞伎座で上演されたものが、今回早くもシネマ歌舞伎となったわけ。

面白い。文句なく。

どんなに特等席で観たって叶わない、役者の表情の大写しがイイ。
目線の配り、汗のほとばしり、頬の紅潮、髪のほつれ、すべてがすぐ目の前で展開される、その大迫力に脱帽。
そして、この回だけのアクシデントであったのでしょうが、家主の女房おいく役の坂東彌十郎が、死人の踊りに慌てふためく迫真の演技で、なんと足を踏み外し、久六を演じている勘三郎の上に落ちてくる。カツラまで取れてしまってる♪
それをリアルに面白がっている勘三郎の表情がおかしくて、映画館内は大爆笑。
腹筋が痛くなるほど笑っちゃった。

大向こうの「中村屋!」というかけ声や、一斉に固唾を呑む気配、拍手喝采に笑い声。そう、リアルな舞台を観ているそのままの興奮やワクワク感が、スクリーン上から 実にリアルに熱を持って感じられるの。

カット撮りをしてつないでいるのではない。一つの舞台をちゃんとお客さん目線で、「ここをアップで観たい!」という欲求を満たして見せて魅せてくれている、まさにこのシネマ歌舞伎の醍醐味。

それは2本目の「連獅子」で最高潮に達する。
親獅子を演じる中村勘三郎、子獅子を演じる勘太郎と七之助。
親ライオンが子を谷底に突き落とし、自力で駆け上がった子獅子だけを育てるという故実を 本当の親子が演じているのだから、その感動がじんじん沁みてくる。
地唄の歌詞が画面の下に文字で出るのも、意味がちゃんと判ってとても良い。
そしてクライマックスの毛振り。
白の親獅子、赤の子獅子。一糸乱れず、三人の心を一つにしての豪快にして華麗な毛振りは 全身に鳥肌もの。

シネマ歌舞伎。
良いもんです。
ほんっとのほんっとは、歌舞伎座で、本物の歌舞伎が観たいけど。
チケットがなかなか手に入らない。チケット代が高い。期間も限られている。この三重苦を見事に覆す、最寄りの映画館で、二本立てでたったの二千円!という驚きの低価格で楽しめる。

まずは、このシネマ歌舞伎で「歌舞伎鑑賞のツボ」をおさえ、やがて、年に一度か二度は歌舞伎座へ。
これ、ありだと思います。

その後に観たアンジェリーナ・ジョリー主演の「チェンジリング」とブラッド・ピットの「ベンジャミン・バトン」もとても良かったんだけど。感想はまた次の機会に。。。

水曜日。レディースデーで計四本の作品を観て、9時間を映画館で過ごしたのは我ながら。
呆れるほどに充実の一日だったのでした。