kanbanNaname 2009年10月10日。午後3時。当日がやってきました。

『秋田慎治 Meeting Reading Present vol.5 小川もこ 』

過去、何回もお客さんとしてジャズを聴きにきた 
とてもお洒落で洗練されたジャズクラブ「JZ Brat」に到着。
このエントランスにある 本日の出演者 の看板に、自分の名前を見るのは、なんだか現実のことじゃないみたい。

大丈夫なのか 小川。...


ままよ。。と中に入ると、あったかい笑顔で迎えてくれる、JZ Bratのスタッフの皆々様。

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ほんっとに、ここのスタッフは真摯で思いやり、ホスピタリティーあふれた方々です。

終始、ありがたいな...嬉しいな...♪と その応対の暖かさに感動しまくっていました。

←(控え室には こんなメッセージが置いてありました。顔写真入りなのが イイですね♪)


さて、控え室に荷物を置き、ピアノの調律が済んだところで、本日のホスト役を務める 世界でイチバン!のピアニスト、秋田慎治さんとリハーサル。
今回は、現代ものと時代もの。二編の小説を朗読するのですが、ためしに どちらも 全く原稿を見ないで やってみた。
結果。
現代ものの江國香織 著「冬の日、防衛庁にて」は 肝心のメニューの文言「ほうれん草とベーコンのサラダ。メインは...ミラノ風カツレツにしましょう♪」という言葉を すっ飛ばしてしまった。
秋田さんが苦笑いしつつ、「せっかく、JZ Bratのシェフが 同じメニューをつくってくれたのだから、そこだけは言ってもらいたいですね♪」と端正なマスクに つぶらな瞳で ニッコリ微笑んで そう言う。

うへ。スミマセン!
と 途端に自信を無くし、とりあえず第一部は 小説の原稿をテーブルの上に置いておくことにした。

JZBratStageさぁ、午後5時になって開場。三々五々に集まるお客様たち。
ちょいとドキドキしてきたぞ。
秋田さんに「そういえば。朗読以外のところは どうやって進行するの?」と聞くと。
「まぁ、楽しいトークの時間ということで。ネットで募集した、もこさんへの質問というのもあるので、それに答えてもらいましょう」などと、詳しい打ち合わせも無いまま、時計の針は18:40をまわり。

いよいよ開演です。

Meeting Reading Presents Vol.5ということで、隔月で開催され、今回 五回目を数えるこの企画は、秋田慎治その人とゲストとのトーク&コラボレーションライブを楽しんでもらおうという主旨のようで、最初から 雑談とも思えるまさにトークショー。
まずは、今日に特別メニューとして用意された440SpecialMenu
小説に登場する 4種の料理を盛り合わせたスペシャルプレートを説明。
すっごい。感動した!どれもこれも美味しい♪
このプレートは大好評で かなり早くにソールドアウトしてしまったよ。
445MokoPlate

リハーサルを終えてから、小川も御馳走になりました。
カツレツは小説曰くの「あぶらっぽくって田舎くさく」は全然なく、サクッとして美味。
コンソメスープも、シェリー酒がきいてるのか すごく美味♪
小川の好物[カニ]と 秋田さんのオーダーした[キノコ]も使ってあります♪



460Mizuakariもう一つの一夜限りのスペシャルメニューが このカクテル。 小川の好きなターコイズブルーを基調としいていて、ミントやヨーグルトリキュールを使っているグラデーションが美しい。

カクテルの名前は自由につけてくださいと言われ、第二部に読む小説のタイトルを そのまま つけてみた。その名も 「水明り」

儚い 束の間の幸せ。
古い屋根船が ひっそりと水明りの中に浮かんでいる様子が再現されていて す・て・き。

甘くなく、爽やかな後味で 実に美味しい。恒常的なメニューになったらいいなぁ。


トークコーナーのホストとしての秋田さんは 完璧だった。
小川の担当するラジオ番組をちゃんとリサーチしていてくれて、小川をたてるように話を展開していく。”小さな感嘆詞と的を射た質問を ところどころにさしはさみ、人の話を苦もなく引き出してしまう”。(実はこのフレーズは、朗読した「冬の日、防衛庁にて」に登場するフレーズなのね)

まさに、小説の中の衿子さんと同じく、秋田さんは「究極の聞き上手」。
いただいた質問の中に「お話上手になるには、どうしたらいいんでしょう?」というのがあったけど、この夜の秋田さんが そう。
「まず、人の話を聴くところから始めてみるといいんだよ。お話上手は聞き上手だからね。」と、小川がそんな話をすると、彼も、
「そういうところは、ジャズと似てますね。一緒に演奏している相手の歌、音、演奏をこれ以上無いくらいに集中して聴いていて、そこで初めて自分の音を出す。それが一番大事なので。」と また実に的確なフォローをしてくれる。

今まで、まず 流麗で繊細なピアノテクニックや作曲能力、加えて、そのジュード・ロウ似の容姿にも惚れてはいたけれど、インテリジェンスと共に、こんな人間的魅力 今回はほとほと感じ入ってしまった。

ホスピタリティー。

あたたかく もてなす心。

これが 全てなんだよな。

いよいよ それでは演ってみますか。と、秋田さんはピアノへ移動。
小川はハンドマイクを持ち、まるで司会をするように 朗読へと入っていった。
とりあえず。大事なフレーズを飛ばすこともなく 置いておいた台本もほぼ見ないで 終えた。
「ぷ・りずむ」の発表会の時は、既存の音楽をBGMに使ったりしたけれど。今回は その場面、その台詞に合う音を 音楽を 刹那刹那に秋田さんが紡いでくれる。

そのなんと心地よいこと。
素で朗読するときには えいやっと意識しないととれない「間(ま)」が 自然ととれる。
感情が高ぶるシーンには ピアノのタッチも強くなり、不安な気持ちはその危うい薄氷を踏むような気分を 不協和音とともに。

私は歌も下手だし、楽器の演奏も まるで出来ないけれど。
今、まさにジャズしてる。って心持ちを 疑似体験させてもらった。

加えて殊勲賞は JZ Brat ブッキングマネージャーの谷口さん。
リハーサルの時、急に思いついて、やってください!とお願いしたら快諾してくれて。
小説の中に登場する給仕の言葉。「奥の席でお待ちです。」
すっと静かに登場して、このフレーズを一言いって去っていったときには、和やかな笑いと拍手が起こる。イイ感じ♪
谷口さん 最高のパフォーマンス、ありがとね!

休憩を挟んで 第二部は 模擬公開生放送の体でスタート。
つまり、渋谷のお洒落なジャズクラブから実況生中継で 秋田慎治さんをゲストにお迎えし、彼の自慢の最新アルバム「Drama Jazz」をフラッシュで紹介しながら、パーソナリティーの小川が番組を進行していく...って感じ。
これはもう。出前アベニューやフォーミラの公開放送で鍛えた得意分野ですから♪

秋田さんが、あまりにホスト役に徹しているので、ここでちょいと強引に。「パーソナリティー小川の図々しいお願いなんですけれどぉ〜♪リーダーアルバムの一曲め[スプレッド・トゥー・ザ・スカイ]とってもイイ曲なんで、ここで生演奏タイムをお願いしたいですぅ〜」とリクエスト。
一曲じっくり、ソロで演奏してもらった。
うっとり。
なぁんか 愉しい雰囲気で いよいよ今夜の締め、ジャズと朗読のコラボ「水明り」へと。


会場内、満席のお客様が ほんとに 真剣に聴いてくれてるんだ。


水を打ったように しぃぃん。。。となって。
しわぶきひとつ、グラスや食器のふれあう音のひとつも聞こえてこない。

こちらは もう何も見ず 考えず。
「語り」として 全身全霊を込めて 届けた。

要所要所で 静かに そっと添うように 入ってくる秋田さんのピアノが
様々な光景、心象風景を このJZ Brat の空間に産み出してくれる。

そこは まごうことなく ひっそりと屋根船が浮かぶ 水明りの世界。

薄幸の夜鷹のおりんが 桶職人の浅吉と 最後の一夜に過ごす儚く哀しい、でも幸せな 語らいの時。

終盤、どこからかすすり泣きの声が聞こえてきて、私も涙が出そうになるが、こらえてこらえて。。。


終えた後の ほぉっっっっという 溜息にも似たような 皆の吐息。

よかった。ここで こんなに多くのかたと 共有できて。

そんな瞬間だった。

終了後、何人もの秋田さんファンの女性が、熱い感想を言いに来てくださる。その興奮の様子、涙ぐんでる様子に めんくらってしまう小川。
そんなに「感じて」くださって、 ほんとにほんとにありがとね。

来てくださったかた。
聴いてくださったかた。
あの空間を 一所懸命コーディネート、プロデュースしてくださったかた。
そして。エスコートしてくれ、導いていってくれた秋田さん。

みんなに ありがとう。

またいつか。
こんな時間が持てたらいいね。
AkitaMo 457AkitaMo

終えてホッとしてツーショット。









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大林素子さんも、武智大輔さんと一緒に来てくださって、感謝。



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終演後、来てくれたアーティストの一人Rioさんとお仲間、それに横浜から来てくれた友人と けっこう深い時間まで呑んで語って怪気炎。


イイ夜でした。