2010012620290000お正月恒例、1ヶ月続く
志の輔さんの落語 in PARCO
幸せなことに 今年も鑑賞することができた。

しっかし。
なんなんだろう。
この ただただひれ伏してしまう 
すべてを超越した 表現。

神 います。

そこにたしかに。降臨してる。

そんな こうごうしい気持ちに 全身浸って PARCO劇場は 
深い深い 幽玄の世界。

前半、まずは新作を二席。

最初に バリバリ時事ネタから引っ張ってくる話は「身代わりポン太」
ご自身の故郷、富山の山村が舞台。
枕から 地元ネタ炸裂で、富山と縁が深い小川にとっては 嬉しいかぎり。

昨年の流行語にもなった「事業仕分け」の末に、「凍結」となった数々の公共事業はいったいどうなっちゃうんだろう?!そんな危惧感から生まれたのでしょうかってな作品が秀逸。
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地域活性化の目玉として建設中だった
信楽焼のタヌキ型展望台、高さ25mの
「ぽんぽこタワー」が下半分。
つまり、あの(きん◯ま)部分もあらわな
下半身部分のみを残して凍結っ!てことに
なっちゃったから、さぁ大変!
そこに絶妙なアイディアを打ち出すのが、
話を立ち聞きしていたお掃除のおばあちゃん。

スッタモンダが楽しくて。あるよなぁ、ぜったい。こんな悲喜劇が。って思わせてくれるんだよね。


二席目は「踊るファックス2010」
間違えて届いたファックスで、大騒ぎになるこの話、

志の輔 らくごBOX志の輔 らくごBOX
アーティスト:立川志の輔
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
発売日:2003-04-23
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

でも、笑かしてもらってましたが、2010バージョンってことでフレッシュに聴けました。後ろの大仕掛けな演出にも喝采。ただ。ファックスはもう、通信手段の主流ではないよなぁ。。ってことで、メールバージョンをつくってみてはどうかしら?と思っちゃったけど。

仲入りには 落語鑑賞仲間の美歌嬢と、「お腹空いたねぇ。でも、このあと飲みに行くし♪」と、ここはコーンポタージュスープで我慢。(そのため、三席目、二人とも 良い場面でお腹が鳴りそうで戦々恐々!)

そうして始まった三席目。「中村仲蔵」

これがまぁ、腰を抜かしてしまうような 表現世界。

人間、本当に素晴らしいものに触れたときには わぁ!とか素敵!とか大歓声の大拍手。なんてならないもんですね。

とにっかく。
水を打ったように しんとなる。

あの 息も吸えない気持ち。もちろん吐き出すことも ない。

会場中のお客さんと 一蓮托生、感動の気持ちをひとつにし、
やがてあちこちから すすり泣きの声が聞こえてくる。

私は 例のごとく 壊れかけの水道の蛇口のように ぽったんぽったん 頬を伝う涙は鎖骨にたまり、化粧はぐちゃぐちゃに。。。


中村仲蔵。
実在の人物で、江戸時代中期の歌舞伎役者・初代中村 仲蔵(しょだい なかむら なかぞう)という稀代の名優を描いた人情噺なのね。

今以上に血筋が大事な梨園にあって、まったく出自の違う世界から飛び込み、下積みから這い上がり、その才能を4代目市川團十郎に認められてからは人気が上がり、明和3年(1766年)「仮名手本忠臣蔵・五段目」の斧 定九郎(おの・さだくろう)を、それまでと全くちがった解釈で、オリジナル演出で演じ、これが生涯の当たり役となったという仲蔵の物語。

彼の生き様を 丹念に むしろ淡々と描いていく。
そして。この噺は 歌舞伎をわかってないと楽しみが半減する。そこを うまく歌舞伎の説明もおりまぜながら 優しく易しく進めていくところなんざぁ、微に入り細を穿って気配りのお人。
しかも どうだぁ〜教えてやってんだぞぉ〜って押し付け感はまるでない。

いつにもまして、ひそやかに。
声を荒らげることもなく。

「間(ま)」。

見事な 間 が そこにある。

認められ、異例の出世で名代まで上り詰めたのに、嫌がらせで 名代が演じるような役ではない、定九郎を演じねばならない苦悩。


柳島の妙見様に 三七 二十一日 日参し、それでも良いアイディアが浮かばず 雨宿りに入った蕎麦屋で出会ったイナセな浪人にヒントを得る場面。

映画的なんだ。アングルからカメラワークから 行き詰まるシーンを ちょっとした表情と語り口で展開していく。

そしていよいよ演じる段。
花道に見立てた パルコ劇場の天井は まるで 役者が登場しているかのように 次々点灯していくライト。

うまいね!
ライトで 花道を表現するなんて。

後半。
特に、観客たちが あまりに無反応なので、新演出を完全に失敗したと感じた仲蔵は 妻を残して大阪へ向けて出奔しようとする。
その道すがら、仲蔵は目にし、耳にするのだ。
見物した客が、「いやぁ、良い芝居を観てきた」と、いかに良かったかを留守居の人に話して聞かせているのを。

物陰に隠れ、その評判を耳にして思わず手を合わせる仲蔵。
その姿。師匠の團十郎が褒めてやる場面。

もうね。

人間 一所懸命 事に臨んでいればね。
きっと だれかが どこかで ちゃんと見ていて ちゃんと解ってくれるんだよ。

って、ゆっくり じわじわと 生きる勇気が湧いてくる。

私も皆も 流したのは そのありがたさへの感謝の涙もあったんかな。

楽屋へご挨拶に行き。
年末 お身体の加減が...と伺っていたので と 見舞の辞を述べると
いや このとおり ゆるりと やってます。

と ほんとうに 柔らかな おだやかな笑顔。

志の輔さん よっ。にっぽんいち。
なんどでも 惚れ直しちまうぜよ。

また 今年も 応援していきますっっっ。

毎月行ってる富山での寄席も いつかきっと 当地で聴かせてもらいますねぇ。


そして、今回もお客さんの送り出しミュージックは、スターダストレビューの
「シュガーはお年頃」

♪だからブギウギ〜わくわく〜♪揺れる恋〜でも〜〜♪
あなたと二人なら 生きていけるわ〜〜♪


ウキウキわくわく〜♪と、
我ら 飲兵衛二人は 渋谷の夜の街へと同化していくのだった。
そして今宵も 百軒店の夜は更けて。気がつけば あら 3時。

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