本を読むのは大好きだが、パソコンに向かう時間と読書に費やす時間は ついつい反比例しちゃうのよね。
以前、電車で通勤していた頃は、電車の中が 格好の読書室だったけれど、今は、読むぞ!と思わないと、なかなか読書タイムが作れない。

そんなこんなの 今週末。話題の新刊本を立て続けに読んだ。

沖方 丁の「天地明察」と、東野圭吾の「新参者」。

ひょっとすると 読むの速いのかなぁ...。
天地明察は5時間、新参者は3時間かからず読了。

というか、どちらも とにっかく面白いのだ!

ぐんぐん ぐんぐん 読み進むんだ。

天地明察天地明察
著者:冲方 丁
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2009-12-01
おすすめ度:4.5
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「天地明察」は、2010年の吉川英治文学新人賞、ならびに「本屋大賞」第一位の作品。

この「本屋大賞」は、作家達の登竜門である芥川賞・直木賞や 出版社の賞のたぐいではなく、実際に本を売ってる本屋さんの店員さん達が、自分で読んで「面白い!」と思った本に投票して決める賞。
過去、「博士の愛した数式」や、「ゴールデンスランバー」「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」「夜のピクニック」など第一位となった作品は映画化されているからご存知のかたも多いでしょう。

いや、賞を獲ったから...という理由よりも、ちょうどこの日、朝のワイドショー「とくダネ!」で作者 沖方 丁さんを密着取材されていて、その映像が仙台駅からスタート、現在の住まいが福島市...というところにも惹かれて、読んでみたい!と思ったんだ。
ライトノベルから始まり、SFやコンピューターゲーム、漫画の原作者でもある沖方さん。いきおい、話の展開が 胸を空くよな面白さ。

いやはや なんとも。
主人公は 渋川春海という江戸時代前期の囲碁棋士で、算術を駆使し、天文学を極め、暦(こよみ)を改定することに尽力した人物。それも22年もの歳月をかけて。
実在の人物を描く歴史小説は、えてして、とんでもない創作がそこに為されるもので、それが魅力だったりもするのだが、ここでは史実に基づき、奇をてらってないにもかかわらず、作者の沖方さんが、渋川の生きざまに心酔して書いているのが伝わってくるのね。
やがて春海の生き方に 自分の来し方行く末を投影してみたり。

我も かくありたい。って 思わせるのよ。
人に対する接し方もね。人として 魅力的なのだ。

また、「暦」って、農耕民族の日本人にとっては、二十四節気に代表されるような、一年の営み、過ごし方、さらに宗教的行事が、そこに表現されているものね。
これを より正しく改めていこうなんて、並大抵の思いじゃ為しえないこと。
そこに「和算」「算術」つまり。その時代における数学がモチーフとして登場する。
私みたいな文系の人間には この時点で拒否反応になりそうなところを、あぁ、数学って美しく浪漫に満ちたものなんだなとも思わせてくれる。
小川洋子さんの「博士の愛した数式」を読んだ時と同じ悦びと言いましょうか。

解答が出たとき、「ご明察!」って言うの またぞろ流行らせたいなと思ったり。


あぁ、ほんっとに 面白かった。

そして。

新参者新参者
著者:東野 圭吾
販売元:講談社
発売日:2009-09-18
おすすめ度:4.0
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「新参者」は言わずもがな。
日曜の夜、「龍馬伝」を観終えると、このドラマへ移行するのが最近の楽しみ。
阿部寛さんの快演と併せて、原作の素晴らしさが見て取れる この4月からの一番のドラマだと思う。
「天地明察」を買った時、つい一緒にレジに運んでいった小説。ドラマを最後まで観てから読もうと思ったのだけれど、待ちきれず、つい読んじゃった。

阿部ちゃん演じる 加賀刑事は 小説の中でも やはり魅力的です。
こんな刑事 現実に 居てほしいです。
さらに、この話の魅力は、下町の人情と 毎度毎度 被疑者かと思われる人々の生活の営みに せつないほどの 生きていく喜怒哀楽がにじみ出ていて、毎度 泣きそうになるのよね。。。
そうして、殺人事件の犯人は...。
結果がわかったら、つまらなくなるかと思いきや。とんでもない!ますます楽しみ♪
あの場面、この気持ちのやりとりを 彼らは どう演じるのだろう???
ワクワク。

さすが 東野圭吾。
彼の作品が どんどんドラマ化、映画化される理由が よくわかる。


こんなに胸がときめく世界。

すごいよな。

そこには 総天然色の映像があるわけでも、美しい音楽や 温もりや 匂いや 光があるわけでもないのに。

活字は 全てを 想像させてくれる。

胸の奥を 鷲づかみにして 琴線を搔き鳴らすような感動を与えてくれる。

これ。
今、話題の電子書籍でも 同じように 感じられるだろうか。
DSの文学全集でも けっこう楽しかったからな。

紙じゃなくとも、イケルかもな。

ちょっと ドキドキしながら 実は 5月28日を待ってる。