花2 先週の土曜日。
横浜ベイを吹きわたる潮風も 頬に心地良い
まさに五月晴れとなったこの日。

朗読の発表をおこない、
無事、終えることが出来ました。

お越し下さった皆様 ありがとうございました。


人形の家からの眺望場所は、初の会場となった 
「横浜人形の家」四階の「あかいくつ劇場」。


ロビーからは、こんもりとした緑の街路樹の向こうに、
山下公園、氷川丸、海を望む 
とても気持ちの良い場所です。



人形
人形の博物館の中にあるこの劇場、
こんな微笑ましい老夫婦の操り人形も
飾られていて。

キャパ150名の朗読には丁度良い広さ。

駅からも近く、良い場所でしたね〜のアンケートの感想も多く、
嬉しかったです。

実は。
ここに決めるまで、それなりの苦労があったのです。


この朗読の会「セブンキャッツ」の 今年の幹事のお役を拝命していた小川、
二年前におこなった「横浜近代文学館」は 会場の事情で、今年の5月の貸し出しはおこなっておらず、
ありとあらゆる会館、ホールをリサーチし、予算や利便性、ステージの使い勝手など様々に比較検討を重ねた結果、この「あかいくつ劇場」にしたい!と、抽選会に臨んだのが 今から半年前。

普段から あんまり くじ運の無い小川でしたが、この時は見事、5月22日の権利を勝ち取ったのだぁ〜♪

年明けてから、作品選び、そして元・新劇女優である佐藤通江先生の厳しくも愛のあるご指導をたまわりつつ、月に二回の稽古を重ね、会場の下見、ゲネプロ、当日のランスルーと 考えれば怒濤の準備を経て、本番に臨んだのでした。

会場の広さ、しつらえ等の関係から、今回はマイクを使うか否かで 先生と意見が分かれ、侃々諤々。
すごく悩みながら 様々に試してみた結果、今回は ピンマイクを遠目にセットして使ってみることに。

さて、聞きやすさはどうだったのでしょう。。
会場に来てくださったかたの御意見をうかがってみたいものです。

舞台袖もこ今回、私が朗読したのは 
佐江衆一さんの書かれた短編小説集「長きこの夜」の中から
死者たち の項、「ゆらゆら小舟」

原稿の表紙は、前日、玉川高島屋のITOYAに行って買い求めたケント紙で作ったお手製のもの。
会場下見に行ったとき、会場内が赤と黒で統一されていたので、この配色にしてみました。


母のお腹の中に居る胎児のモノローグで始まる とても不思議な大人のメルヘンとも言える珠玉の短編です。

昨年、同じ作者の時代小説から「水明り」を選んでいた私。
その時の 一夜限りの男と女の寝物語。切ない大人の会話のやりとりとは、また全く違う世界を描いている作品なのですが、
「生きる」ということ、
生まれる喜びと 逝く者を送る哀しみ、
死んでいった者へのオマージュ、
親の無償の愛、子の思い、兄弟への思い、

いろいろ いろいろ描かれていて 初めて小説を読んだ時、じぃぃんとしてしまった内容でした。

何度も稽古しているうちに、自然に諳んじてしまい。
一応 原稿は膝の上に置いておいたものの、
とうとう 一度も見ないで語ることが出来ました。
時間にして 13分あまり。

全てを語り終えたとき。しぃんとしている場内。
どうだったのかな。。。
不安に思いつつ、立ち上がり、礼をしようとしてピンヒールが不安定で、よろめいてしまった私。
それが可笑しくて、笑いをこらえるのに必死で顔を上げると 静かな場内から徐々に拍手が。

じっくり聴いてくださって、ありがとうございました。


今回 嬉しいサプライズが。

もこ花まず。チャゲさんが とても綺麗なアレンジ花を
お贈りくださったのです。
それが、シャクヤクや白紫陽花などを配した
なんと「和」のテイスト満載で、
あまりに美しいしつらえで、
ステージに飾りたいような配色。
思わず、そうさせていだただきました

ありがとね。チャゲさん。


さらに。
なんと小川の朗読した作品の作者、佐江衆一先生が 聴きに来てくださっていたのです。

ご多忙なのだから無理とは思いつつ、ご案内のお手紙だけは出していたのですが、
自分の朗読を終えて舞台袖に下がった時に、メンバーから「遅れて来てくださったかたの中に、佐江さんらしきかたを見かけた...」という話を聞き、
受付に飛んでいったところ、芳名帳の中に先生のお名前を発見。

まさに
「暗い空から小雪が舞った。(中略)雀躍りしてるみたいに。」
(「ゆらゆら小舟」より)
な状態。

終えた後、楽屋にお越しくださった 佐江さん。
大事な会合があったのを途中で抜け出して、来てくださったとか。

丁度 会場のドアを開けたら、小川の朗読が始まった...というギリギリのタイミングだったようです。

「自分の書いたものだから、なんだけど...いやぁ、よかった。
私の好きな短編を あのように読んでもらえて、うれしいです。」と 
おっしゃってくださり。

天にも昇る心地でございました。。。
また、
「よくあの歌をご存知でしたねぇ」とも。

あの歌。そう、この歌です。

♪皇太子さま〜お生まれになった〜♪
という、今の天皇陛下が誕生された時、作られ愛唱された唱歌が 
作中に登場するのです。
どんな歌なのか まったく知らないので、最初は そのまま読んでいたのですが、朗読を指導してくださる佐藤先生が、歌ったほうがいい...と、詳しいかたから手に入れたと、カセットテープに録音して持ってきてくださって。
なんとか歌を憶えることが出来、小川は音痴で恥ずかしいのですが、今回、思いきり 歌ってみました。
のどかな のどかな 歌。
天皇陛下と同い年の佐江さんが 産湯につかった時から流れていて、ご自身も 自然に憶えてしまったと おっしゃっていました。
当時の日本の 国をあげた祝祭ムードが伝わってくるようですね。
映像で見つけたので、興味のあるかたは、聴いてみてね。


このお話、実話に近いんじゃないでしょうか?と問うと、
うんうんと肯く 佐江さん。
まさに、ご本人の実体験に基づく 短編だったのです。


長きこの夜長きこの夜
著者:佐江 衆一
販売元:新潮社
発売日:2007-09
クチコミを見る

今回選んだ「ゆらゆら小舟」を含む短編小説集「長きこの夜」
私は 上の写真にある 新刊本で読んだのですが、

長きこの夜 (新潮文庫)長きこの夜 (新潮文庫)
著者:佐江 衆一
販売元:新潮社
発売日:2010-04-24

持ち運び便利な文庫本、廉価の400円で買うことが出来ます♪
あなたも この作品、本で 読んでみませんか?

じんわ〜り感動しますよ〜

さぁ
今度は7月。
東京は中目黒で ジャズと朗読のコラボレーションでお届けいたします。

詳細は 近日発表いたします。

今回、聴いていただくことの叶わなかったアナタ。
次回こそは是非。

どうぞ お楽しみに〜!