t47_1009asobi靖国神社。

遊就館前の野外で 桜の咲き始めた3月に奉納演劇をやらせていただいたのは、もう4年前。

そのときの演出を担当していた佐藤伸之さん率いる劇団パラノイア
靖国神社の奥の池のほとり、野外で
奉納舞台をおこなうと聞いて、連休最後の
10月11日、月曜日の夜、出かけていった。

その名も 今昔舞踊劇「遊びの杜」
今年で もう三回目の 靖国での舞台。


588靖国能舞台日本人なら どこかで知っているお伽噺や神話を 
佐藤伸之
さんが脚色・演出し、
能や歌舞伎・狂言にも似た 今様の舞踊と演劇で表現。

なんというか。。

日本っていいな。日本人として この詫びさびを 感じる心を持っていて良かったな と感じる 素晴らしき世界。


全編を通しての 語り部、狂言回しの役は 秋場千鶴子さん。
美しく たおやかな日本語で 夜の静寂に響く凛とした声によって
一つ一つの物語を紡いでいく。
宍色(ししいろ)のお着物が よく似合う。

登場人物は 民話の農民姿を除いて ほぼ和服。

587葦簀画

ノブさん、こと佐藤伸之さんの創り出す世界は
和ものに対する造詣の深さ、こだわり、美学が
貫かれているんだよな。






序に 三番叟(さんばそう)の 創作舞踊。
女子達は、全員 黒留め袖に銀の帯。
一緒に飛行機雲を演じていた 伊藤貴子ちゃん すっかり綺麗になっちゃって。
それにしても 演者たちは 皆、日本舞踊の基礎がしっかりしているなぁ。

第一話は 小泉八雲の「むじな」。
「飛行機雲」では主役を演じたこともある長縄龍郎さん演じる商人の、むじなと出逢って慌てふためく様が小気味よく。
長縄さんは 八面六臂の大活躍。一人で三話を主演、他にもいろいろと。
娘と蕎麦屋 双方ののっぺらぼうの表現が 歌舞伎的。

第二話は 今昔物語より「鬼の背に乗りたる男の話」。
夫に捨てられて狂い死に、そして鬼になった妻が 夫を殺そうと 求め彷徨う姿がいと哀れで。
陰陽師に助けてもらって、夫は死なずに済むのだけれど、
女目線で観ていると、
「直平(夫の名)め。呪い殺されればいいのに。」
とも思ってしまう女の心に すべからく鬼は居る。
げに哀れに口惜しきは 男の気持ちの移り気、人の心の移ろいだなと。

第三話は「貧乏神と福の神」
山形県寒河江の民話より。ってことで、
恰幅の良いノブさんが みすぼらしい貧乏神を演じているのがミスマッチで面白い。
終演後、ご本人が「いや、とりついた家人が貧乏になればなるほど、
貧乏神は ふくよかになっていくので。」と言い訳していたけれどね。

第四話は「大井光遠の妹の強力の譚」
力士である兄より腕力のある妹の 強さと可愛げが同居して いと、おかし♪

第五話は「鵺(ぬえ)」。
源頼政の鵺退治に端を発した ちょっと哀しい話、、と感じられた。
ってぇ、はなはだ不確かな表現なのは、文語調の台詞が難しくて、意味がよくわからなかったところも多くて。(^^;)
で、余計なところを観て感心してた。
旅の僧を演じた吉田匡孝さんの 五分刈りの頭の形の美しいこと。
僧侶役がハマッテるなぁ。

第六話は「こぶ取り翁」
こぶとりじいさんの話ですね。鬼達が 二等身のかぶり物になっていて、楽しい♪ 子供達が喜ぶ演目のようです。

ここで 15分間の休憩。夜が深まっても寒くならず、虫のねに導かれて、
少しウトウト。

最後の第七話は「黄泉比良坂(よもつひらさか)
イザナギ・イザナミの神話です。
八百万の神々が登場する 古事記、日本書紀の世界。
男女の営みも さらっとステキに表し。
いと 美しき表現世界。

すばらしかったのは 音楽。

大石智紀さんの パーカッションのみ。

最初は、笛や琴、また弦楽器などが無いと淋しいかなと思ったけれど、
さにあらず。

太鼓、シンバルは勿論、鈴の音や トーキングドラムなど 駆使して
その音色は どんなメロディー楽器でも為しえない
様々な状況、心理、風景、花鳥風月を表現していて、 
すごい、いや ほんとに凄い。
と思った。

佐藤ノブさん。

また いつか どこかで なにか 表現を共にしたいなぁ。

先週金曜日から 四日間。
土曜は 雨で屋内での公演になってのは 本当に残念だったけど、

寒くなく暑くなく ほどよい この季節に
虫の声を聴き、水面に映るほの明かりに 心も揺らし、
和を 感じ 愉しむ夜。

594能舞台もこ至福の時間でした。

10月15日から17日には
今度は 山梨県 甲斐善光寺 金堂に場所を移して
この公演をおこないます。
お近くのかた、ぜひ。



また来年。この 靖国神社奉納舞台「遊びの杜」は あるらしい。

また来よう。と思った。