芸術
2008年08月20日
出逢ってしまった...
FM鹿児島、花火の特番!今年3回目の担当となる薩摩川内市 川内川花火大会、完全実況生中継番組。そのために鹿児島へ。前夜、翌日の成功を祈念して前打ち上げを鹿児島市内でおこなう。
食通のO氏が 今回 案内してくれたのは、
天文館の「すし正 参玄」という 清潔でとても感じの良い店。
頭上で優しく鳴るのは、南部鉄器の鉄箸の風鈴が奏でる音色。
凛凛 ちりん ちりん♪と 涼やかで心地よい。
ここが 実に!旨い。
細工も ネタも 饗し方も 大将の男前度も 最高♪
最初のお造りの とろけるトロに ノックダウン。続く、どれもとにかく旨い。
こんなに美味しい肴には、普段は日本酒を...と注文するのだが、ここは鹿児島。郷に入ってはヒロミに従う。...じゃなくってぇ。鹿児島なら 寿司にも 芋の焼酎なのだ。
躊躇なく、山元酒造の「さつま五代」を ロックに近い濃いめの水割りで。
最初は深い藍色の薩摩切り子のグラスで饗された。
まあるいフォルムが手になじみ、ずしりと重量感も良い感じ。
料理ともベストマッチング。次いで二杯目をお代わりしたところで代わって登場したのが。。。
そのグラスと 出逢ってしまったのだ。
美しい。
美しすぎる。
朱赤の縁取りに グラスの全面に渦巻く アラベスク模様。
生命力あふれる 生きる喜び、命の躍動感に充ち満ちている。
燃えたぎるパッション。熱情。愛。歓喜。
完全に。
ハートを射抜かれてしまった。
大将に「これは、どんな作家さんの作品なのですか??」と
根掘り葉掘り。
いやがらずに丁寧に教えてくださった。
宮澤裕明さん。
茨城県土浦の出身、東京でガラスを勉強し、米国、ベネチア、スウェーデン、デンマークなど各地で研修を重ね、現在は指宿に工房を持ち、鹿児島市内在住。思わず、翌朝 早起きをしてご自宅へ押しかけてしまった。
3人の子供達を優しく面倒みながら、器の説明をしてくれる。
その真摯な人柄にも惚れてしまう。
指宿で今年 誕生したという薩摩伝承館にも展示販売されていると聞き、その佇まいが知りたくて、鹿児島市から薩摩川内へ向かう途中、というか遠回りして、指宿に足を伸ばす。
「薩摩伝承館」。まるで平等院のような優美な佇まいと 海外へ渡った薩摩焼など貴重なコレクションで目の保養、心の充実。一番奥のショップに。沈寿官さんらの作品と共に、展示されている あぁ、我が心のアラベスク。
出逢っちゃう。って素敵だね。
まだまだ 一目惚れする我がハートに ちょっと安心。
人。 酒。 風景。 味。 花火。
出逢ってしまったぁ、、と思ったものは 過去にいろいろあったけど。
あんまりモノに固執しない自分が ここまで惚れるたぁ 嬉しいもんだ。
しばらく忘れていた恋心に火を点けてくれた このグラスに 乾杯。
というか このグラスで 乾杯。
センスあふれるOさん。参玄の大将。
わざわざ案内してくれたM女史。
みんなみんな ありがとう。
花火 花火師 はなびしアチャコ...!
8月16日。
いよいよ本番。鹿児島有数の花火大会を実況生放送する「川内川花火大会 FM鹿児島特番」の当日だ。
晴天&灼熱の日差し降りそそぐ指宿、知覧とまわって、薩摩川内市に入ったのは午後4時半。
晴れ女だから、天気なんて全然心配していなかった。
なのに。この日の予報は傘マークが見え隠れする 全国的に不安定な空模様。
打ち合わせをしている間にも、さっきまでの青空が嘘のように、一転にわかに空かき曇り、アナブースの窓ガラスに斜め線の模様が入り出す。
見る間に 叩きつける土砂降りの雨。とどろく雷鳴、空は何度も閃光ひかるストロボ状態。
あぁ。。。これはもう、花火大会は中止かも。今年は第50回大会なのだから、いつも以上に気合いが入っているというのに。。。
実行委員長は、番組のスポンサーでもある山元酒造会長。
ほどなく、会場内にアナウンスが流れる。
「本日は、予定通り開催します!」
やったぁ〜♪
南国のスコールのようにバケツをひっくり返したように、いや風呂桶ごとひっくり返したような降りだったのが、徐々に上がり、西の空からどんどん明るくなってきた。
こうこなくっちゃね。
今年も三つの花火会社が担当する。その一つ、六葉煙火の花火師・古閑 潔さんに話を伺う。
今年の「もこ花火」を担当してくれたのが この六葉さんだ。
枕崎出身の彼は、花火師になって七年。新潟県小千谷市の片貝祭りを担当する煙火会社で修業をしたという。
花火の町・大曲で開催される 今年の「新作花火コレクション2008」で、見事、入賞も果たしている。
「篤姫のかんざし」というタイトルの入賞作は、千輪菊がかんざしに見立てた八方咲きで世空に開いたというから、その美しさが目に見えるよう。
頭にタオルを巻いて、ポツポツと話す古閑さんは、「へぇ、そんな事も知ってるんですか?さすが鑑賞士ですね」などと、小川の乏しい知識からの質問をも褒めてくれて、こそばゆい。
そうこうしているうちにも、雨が強くなってきて、心配顔の古閑さん。
「すみません。現場を観てくるんで、それじゃこのへんで。。」と辞していく彼の後ろ姿は、粋でいなせで ほんとにカッコイイ。
危険と隣り合わせで、年間70〜100の花火大会を担当するという。
お客さんの「おぉ〜、、!」というどよめきや拍手が聞こえてきた時が、あぁ、喜んでくれているんだなと 最高に嬉しい瞬間だと話していた。
その後の本番は。
途中、何度か雨が降り、雷も鳴り、びしょぬれになりながら鑑賞してくださったお客様も多かったでしょう。
天気を見越して 今年は会場へ足を運ばせずにいたかたもいたと思う。
でも。
ほんっとに綺麗だったよ。
会場内のスピーカーからも FM鹿児島の放送が流れるこの時間。
みんなで点火までカウントダウン。
夜空に咲いた大玉は、8号「錦緑芯紫牡丹(にしき・みどり・しん・むらさき・ぼたん)」。
金色に輝く内側の芯が緑に色を変え、その回りの星は あでやかなラベンダーカラーの割物ならではの牡丹花火。
おぉ、、、私の生き方そのものだ。。と 勝手に独り言ちる。
会場からも暖かな拍手。
雨上がりの夜空に フィナーレの怒濤の5000連発は 言葉を失うほどに圧巻。
涙が込み上げてくる。
一緒に生放送を盛り上げてくれた、スカンショット・ブースターのヴォーカル・エイキくん&レポーターで雨の中、大活躍してくれた新人アナの新坂恵梨ちゃんと 3人で わぁ〜。。。っと口を開けて見とれてた。
あらためて。
花火にたずさわる男達(最近は女性の花火師さんもいるよ♪)を 心より尊敬する 記憶に残る素敵な夜。
今夜も どこかで 刹那の美を大輪の輝きに映して 漆黒のキャンパスを焦がす 空の華。
高く 大きく あでやかに
いよいよ本番。鹿児島有数の花火大会を実況生放送する「川内川花火大会 FM鹿児島特番」の当日だ。
晴天&灼熱の日差し降りそそぐ指宿、知覧とまわって、薩摩川内市に入ったのは午後4時半。
晴れ女だから、天気なんて全然心配していなかった。
なのに。この日の予報は傘マークが見え隠れする 全国的に不安定な空模様。
打ち合わせをしている間にも、さっきまでの青空が嘘のように、一転にわかに空かき曇り、アナブースの窓ガラスに斜め線の模様が入り出す。
見る間に 叩きつける土砂降りの雨。とどろく雷鳴、空は何度も閃光ひかるストロボ状態。
あぁ。。。これはもう、花火大会は中止かも。今年は第50回大会なのだから、いつも以上に気合いが入っているというのに。。。
実行委員長は、番組のスポンサーでもある山元酒造会長。
ほどなく、会場内にアナウンスが流れる。
「本日は、予定通り開催します!」
やったぁ〜♪
南国のスコールのようにバケツをひっくり返したように、いや風呂桶ごとひっくり返したような降りだったのが、徐々に上がり、西の空からどんどん明るくなってきた。
こうこなくっちゃね。
今年も三つの花火会社が担当する。その一つ、六葉煙火の花火師・古閑 潔さんに話を伺う。
今年の「もこ花火」を担当してくれたのが この六葉さんだ。
枕崎出身の彼は、花火師になって七年。新潟県小千谷市の片貝祭りを担当する煙火会社で修業をしたという。
花火の町・大曲で開催される 今年の「新作花火コレクション2008」で、見事、入賞も果たしている。
「篤姫のかんざし」というタイトルの入賞作は、千輪菊がかんざしに見立てた八方咲きで世空に開いたというから、その美しさが目に見えるよう。
頭にタオルを巻いて、ポツポツと話す古閑さんは、「へぇ、そんな事も知ってるんですか?さすが鑑賞士ですね」などと、小川の乏しい知識からの質問をも褒めてくれて、こそばゆい。
そうこうしているうちにも、雨が強くなってきて、心配顔の古閑さん。
「すみません。現場を観てくるんで、それじゃこのへんで。。」と辞していく彼の後ろ姿は、粋でいなせで ほんとにカッコイイ。
危険と隣り合わせで、年間70〜100の花火大会を担当するという。
お客さんの「おぉ〜、、!」というどよめきや拍手が聞こえてきた時が、あぁ、喜んでくれているんだなと 最高に嬉しい瞬間だと話していた。
その後の本番は。
途中、何度か雨が降り、雷も鳴り、びしょぬれになりながら鑑賞してくださったお客様も多かったでしょう。
天気を見越して 今年は会場へ足を運ばせずにいたかたもいたと思う。
でも。
ほんっとに綺麗だったよ。
会場内のスピーカーからも FM鹿児島の放送が流れるこの時間。
みんなで点火までカウントダウン。
夜空に咲いた大玉は、8号「錦緑芯紫牡丹(にしき・みどり・しん・むらさき・ぼたん)」。
金色に輝く内側の芯が緑に色を変え、その回りの星は あでやかなラベンダーカラーの割物ならではの牡丹花火。
おぉ、、、私の生き方そのものだ。。と 勝手に独り言ちる。
会場からも暖かな拍手。
雨上がりの夜空に フィナーレの怒濤の5000連発は 言葉を失うほどに圧巻。
涙が込み上げてくる。
一緒に生放送を盛り上げてくれた、スカンショット・ブースターのヴォーカル・エイキくん&レポーターで雨の中、大活躍してくれた新人アナの新坂恵梨ちゃんと 3人で わぁ〜。。。っと口を開けて見とれてた。
あらためて。
花火にたずさわる男達(最近は女性の花火師さんもいるよ♪)を 心より尊敬する 記憶に残る素敵な夜。
今夜も どこかで 刹那の美を大輪の輝きに映して 漆黒のキャンパスを焦がす 空の華。
高く 大きく あでやかに
2008年08月12日
稽古と学ぶ
もはや夏の風物詩となった感のある(...でしょうか?)、弊社サンディが全霊を賭けて取り組む平和祈念演劇『飛行機雲2008』。今年は、池袋演劇祭参加となり 九月に二週間かけて全14回公演でおこないます。
さらには、FMとやまの25周年記念事業のひとつとして、富山での公演が決定。小川にとっては故郷と同じかそれ以上の思いを持っている地での開催なので、とても有り難く、絶対成功させたいと強く思うのです。
七月いっぱいは、シーンごとの抜き稽古だったのが、八月になって いよいよ全体稽古となりました。
オールキャストが揃うと、あらためて大勢が参加しているのだなぁと実感。
アーチ演じる天野真一、東 武志が演じる後藤広明、小川もこ演じる坂本未来など数名のシングルキャストを除いて、全てA、B、全く違う人が演じるダブルキャスト。主人公の坂本光太郎もダブルキャストなので、Aキャストで観るか、Bキャストで観るかで、物語の印象もかなり違って感じられると思います。
板の上に立つ役者だけで総勢 34 名。そのうち、サンディ所属は 6 名のみ。なんと 28名の客演を迎えての舞台は 完全なるアウェイ気分。
皆、すごい役者たちだから、学ぶところが多く、ほんっと刺激になるのよねぇ。。。
今回の演出家は 伊勢直弘さん。昨年の公演の現代シーンで、DJ坂本未来とからむディレクター・春永ヒロを演じた他、過去、重要な役どころを数々になってくれていた素晴らしい役者さんですが、このたびの演出の辣腕ぶりには ひそかに感動しています。
一人一人の可能性を引き出す演出なのよね。
現代シーンも とても大事に扱ってくれていて 嬉しいポイントがいくつもあります。
過去、何度もご覧になったかたも、未だ未体験というかたも。
今年で9回目を迎えた定例公演「飛行機雲2008」です。
無差別な凶悪犯罪や自殺の増加など 命を粗末にしているニュースを見聞きしては心痛めることが多い昨今。
“今の時代って幸せなんだろうか?”とか“自分が生きている意味って何だろう?”と、考えることは誰もがあると思います。
この舞台にたずさわるたび、あらためて、
“本当の幸せ、本当の平和”
“充実した毎日を生きるってどういうことか”を考えさせらるのです。
きっと、あなたも、何かを感じ、考えるきっかけにしてもらえるはず。
小川は ほぼ全回に参加していますが、今年の舞台は ことさらに思い入れが強いです。
是非 御高覧たまわりたく。
東京公演
富山公演
どちらも どちらでも。あなたのお出でを 心から お待ちしています!
2008年08月06日
不死鳥のように
8月3日 日曜日。天気 快晴。暑い熱い一日でしたぁ〜CHAGEのDAYBREAK TIME 番組始まって以来、初めての公開収録が、この日、新潟県長岡市の信濃川右岸運動公園フェニックス観覧席特設ステージで行われ、無事、とっても楽しく最高の盛り上がりをもって 終える事が出来ました。
なにしろ超シャベリぃ〜の人気パーソナリティー達、スタレビの根本 要さん、サザンの強力サポートメンバー、斉藤 誠さん、さらに我らがチャゲさんが一堂に会するってんだから、そりゃ〜もう、かしましさは容易に想像がつきますでしょ?
楽しかったぁ。
斉藤 誠さんと一緒に番組で喋っている宮本せいらちゃんが またイイ味出してて、イイ娘なんだぁ♪
なにしろ、彼女は24才。で、彼女のご両親は43才なんだって!
がぁぁぁ〜〜〜ん。小川のショックは 推して量れますわよね?
今回 初顔合わせだったんだけど、楽屋でずっと問わず語りに二人で 深イイ話で盛り上がり。
シンパシーは世代を超えるのだ。
さて、4時半に始まったステージ、オープニングで一同勢揃いの後は、それぞれの番組をじっくりいつものように展開です。
まずトップバッターは 我々、チャゲもこでやんす。
まずは、9月10日リリースが決まったチャゲさん10年ぶりのソロシングル「Waltz(ワルツ)」をしっかりオンエアー。
この3拍子のリズムと、永遠の愛を描いた優しい歌詞が青空へこだまして、あぁ、野外にも合う歌なんだなぁ〜と 実感。
ステージ上の我々も客席の皆さんもワルツに合わせてゆっくり左右に揺れているのが微笑ましい。
さらに続くチャゲちゃんねるのコーナーで、スネオヘアーさんを迎えてトーク&生演奏。
地元長岡出身でたくさんの声援に支えられたスネオヘアーさん、ちょっと自虐的ギャグトークがやたら面白くて♪
チャゲさんおおいに気に入ってました。花火に寄せる思いも熱くて篤くて良い青年。ライブ最後の「打ち上げ花火」って歌、沁みたなぁ。
その後は斉藤さんと要さんの番組収録も順調に進み。
最後は出演者全員で加山雄三さんの名曲「お嫁にお出で」を唄ってジ・エンド。
(←リハーサルの様子)アンコール等を用意していなかったので、もっともっと。。のお客様達の声に、挨拶だけ皆で再登場、要さんと誠さんはピック投げ合戦、チャゲさんは番組ステッカーを花咲かじいさんのようにばらまくというエンディングで 大団円。
でも。このイベントの本番は このあとの花火大会。
チャゲさんや要さん、誠さんは次のスケジュールがあって、急ぎ東京へ戻られたのですが、小川とせいらちゃん、スタッフが残って、とても有名な長岡祭りの花火大会を鑑賞したのです。

す、す、すごいよ。
想像はしてましたが、こんなにスゴイものだったとは。
尺玉でなければ花火にあらず...というような勢いで、でっかいんです。
皮膚表面に、ジーパンの足にも、爆風のずんっという衝撃が伝わってきます。
いまだかつて体験したことのない大迫力です。
いえ、三尺玉という大きな花火も2発、確かに上がりました。
特大のナイアガラも素晴らしかった。
でも、なんといってもラストの「フェニックス」。

この花火は、この中越地方に甚大なる被害をもたらした 新潟中越地震から一日も早い復興を祈念して世界一と誇ることが出来るような花火を... と平成17年から打ち上げられている花火。
これ、何がスゴイって、横一列に並んで6箇所から尺玉が次々に打ち上がるのです。
カメラになんて、全然収まるわけがない!大パノラマ!!
音楽は 平原綾香の「ジュピター」に乗せて。
あまりに美しくて 壮大で 浪漫にあふれていて。
永遠に続くかと思われるような 圧倒的な美の世界、迫力。
度肝を抜かれ、鳥肌どころか全身総毛立つ。
いつしか。私もディレクターも みんなみんな。
涙しながら見つめておりました。
すごいよ。すごい。そして なんて すばらしい。
刹那の美しさだからこそ。せつなくて
そこに復興を願い、幸せを願う人々の思いが込められている。
ここにも 「思いの花火」が ありました。
夜空に咲く 願い 夢 希望 誓い こころ。
フェニックス。
火の鳥、不死鳥の如く よみがえれ よみがえれ。
2008年07月28日
空に咲く
←(隅田川の花火は5号玉までの大きさなので、芯の無いシンプルな菊や牡丹が多い)7月26日 土曜日、友人から とても嬉しい招待を受けた。
隅田川沿いにほど近い、瀟洒なマンション。その4階の彼女の自宅から 隅田川の花火大会が とても綺麗に見えるという。
毎年、そこで酒宴を開催しつつ鑑賞会をしてるから、是非、ご一緒に だなんて。。。う、うれしい♪
今から20年ほど前。物見遊山で隅田川の花火を観に、ぽこぽこ出かけ、とんでもない大混雑に巻き込まれ、正直、懲り懲りだったけど、こりゃ 特別桟敷席で観るようなもんだよね。
パーソナリティーカレッジの先生を終えるやいなや、大急ぎで向かっても出遅れ気味の小川、数名の先客が すでにメートルを上げていて、笑顔で出迎えてくれる。私も遅れじとかけつけ何杯か ビールを飲み干す。
ぷは〜っっ!!旨い。
(脳内BGMは渡辺真知子ねえさんの唄う「ボ〜ラ〜レッッ♪」)
そうこうしているうちに、酒宴の卓の向こう、開け放したベランダの窓枠いっぱいに、夜空に咲く光の競演。思わず、皆で歓声をあげる。
あぁ、、、なんて美しい。。。
日本で最初に花火を鑑賞したのは、伊達政宗とも徳川家康とも言われているが、日本最古の由緒ある花火大会は、この隅田川の花火。
享保18年(1733年)、江戸幕府の八代将軍・徳川吉宗が、その前年の 全国的な大飢饉によって90万人に達した餓死者、また江戸に大流行したコロリ病(今のコレラ)によって、大量に亡くなった死者達の霊を慰め、悪疫退散を祈願して 執り行ったのが、両国の川開き花火、つまり、今の隅田川花火大会の原型とのこと。(よっっ!花火鑑賞士のうんちく♪)
この時の花火師は 六代目篠原弥兵衛。
花火の数は 20発程度とか。
でもこの頃の花火は、まだ 今のような丸く咲く打ち上げ花火ではない。広重の浮世絵、名所江戸百景「両国花火」を見てみると、その花火は一本の細い筋を引いて放物線を描いているだけの、いわゆる「のろし花火」。
色も 黒色火薬の薄暗いオレンジ色 一色のみ。
こんなシンプルなものでも、当時の江戸庶民は興奮して眺めていたんだろうなぁ。。。江戸の昔に思いを馳せるのも愉しい。
そんな聴かれもしない花火鑑賞士の蘊蓄(ごたくとも言う(^^;))を肴に、ビール、シャンパン、焼酎、日本酒とフルコースで杯を重ね、窓から直で望めない第一会場の花火は 某テレビ局の生中継でチェックしつつ、第二会場の花火が テレビ画面では(彼女の家は綺麗なハイビジョンテレビ)存外、色が実物ほどくっきりハッキリ出ないことにも驚く。
生で観ているからこそ判る 違いだなぁ。生は 鮮やかだなぁ。
赤・青・緑・黄・金・銀にオレンジ...と花火が極彩色になったのは、実は明治以降、西洋から様々な金属で発色させる技術が導入されてから。
さらに、レモン色や水色、ラベンダーカラーやピンク色といった中間色が生み出されたのは、ごくごく最近のことなのだ。
日進月歩に進化する 日本の花火師さんの技術は世界一のもの。
夜空に一瞬咲いて、やがて儚く消えていく。その刹那の美しさに、人は心打たれるのだろう。
平和な世 だからこそ 夜空に咲く花を 純粋に美しいと観賞できる。
星になったあの人も
次の長岡の花火は きっと空の上で観てくれてるはず。
まん丸に 咲く 屈託のない笑顔が 夜空のこっちに 大輪に
2008年06月11日
世界一美しい 後ろ姿 〜 日光・月光菩薩立像
ギリギリ駆け込みセーフ!で、上野の東京国立博物館にて『平安遷都1300年記念 国宝 薬師寺展』を観てきました。
あと三日で終わる!という週末の金曜日の夕方。まぁ、予想はしていたけれど、大変な混雑で。長蛇の列で並ぶこと40分。中に入っても芋の子洗いで 超ごった返す中。
いずれも国宝の聖観音菩薩立像、慈恩大師像、吉祥天像などの仏像、絵画の至宝に加えて、神像の名品として名高い八幡三神像(国宝)や草創期の寺の姿をたどる考古遺物など薬師寺の貴重な文化財が一挙にやってきた!
YAH YAH YAH !! 国宝たちがやってきた♪ ですよ。
でも。
今回なんといっても、最大の目玉はこれ。
日本の仏教彫刻の最高傑作と謳われる 門外不出の国宝
『日光・月光菩薩立像(にっこうがっこうぼさつりゅうぞう)』。
二体揃って薬師寺の外に出たのは、今回初めて!!という。
そりゃ、大変な数の人々が 押し寄せますがな。
どちらも高さ3mを超す巨大な立像を しかも、[光背] という背中にある飾り部分を無しに、360 度、あらゆる角度から観ることが出来たのですから。
もう... 涙ものでした。
日光・月光菩薩立像の展示スペースには、一体どれだけの人が居たことか。
正面の少し高い位置から、ずっと動かず見つめる人々。
あまりの人の多さに牛歩の如くしずしずと、360度 立像の回りを廻りながら、下から見上げ、細部にいたるまで、舐めるように観察する人々。
壁のベンチに腰掛け、遠くでも下目線から じっっっと観ている人。
許されるなら、私も何時間でも この空間に居続けたかった。
高校の修学旅行で観た時に、ご本尊の両脇に腰をくねらせて立つ姿に 見とれた憶えはあるものの。
なんというか、あまりの美しさ、荘厳さ、神々しさに、雷に打たれたように その場から動けなくなるのよね。
豊かな頬、切れ長の瞳、美しく引き締まった唇、細く高い鼻梁、たおやかな腰の曲線、慈愛の満ちあふれる指先、初めて見た背後からのウエストの細いライン、衣のドレープの柔らかな質感。
特に 背中。
中央が縦にすっとくぼんでいて、なんと綺麗な肉付きを感じる。それも水泳選手のような 無駄のない しなやかな筋肉。
ほぼ左右対称と思えた日光・月光菩薩は近くで見ると、全く違う表情で、醸し出す雰囲気も 全然異なって感じられたのが驚きでした。
金堂本尊薬師如来の向かって右側に立っている 日光菩薩。
これが実にたおやかで、お顔も指先の表情も実に女性的なの。腰を曲げていることによって刻まれている脇腹の皺も、なんだか優しく柔らかく。[女]の習い性を感じてしまったのです。
それに対して、向かって左側の 月光菩薩。
こちらは、ちょっと眉間に縦皺があるような、勝ち気な やんちゃさが まず顔の表情の中に見え隠れし。
背中からみる背筋の感じ、正面のお腹も、なんとなく腹筋を感じる躍動感ある筋肉。前に掲げた左手の掌の分厚い肉付き、胸の膨らみも乳房ではなく胸板。アスリート系の、紛うことなく[男性]なのだ と感じてしまった。。。
一緒に眺めた友人と、「こんなに違うんだねぇ」とつくづく感嘆。
足下から見上げると、こんなに巨大な像だったのかと驚きつつも、天衣の先が切れてしまっていることにも気づく。元は全身金箔が施されていたものが、火災を経て黒色になったとあるけれど、その艶やかな漆黒の輝きが、また優美さに繋がるのね。
美しくて。 美しすぎて。
信仰の対象というよりも 存在そのものが崇高なアート。
その完璧な美に、うっとりしてしまう。
行ってよかった。
見終えた後は 魂の抜け殻、腑抜けになってしまった。
ボロボロに疲れた足を引きずりつつ、浅草の酒も肴も美味しい店で感動を反芻。
いやぁ、よかったねぇ。。。。と友と語らう。
この時間が また 宝だね。
2008年04月17日
ジュード・ロウに重度メロメロウ...
先週は「マイ・ブルーベリー・ナイツ」と「スルース」。1日に二本のジュード・ロウ主演映画を はしごしました。あまりに美しく気怠く哀しく儚げで、やがてせつなくて。切り取る一場面一場面の映像美にしみじみ見とれ、ウォン・カーウァイ監督の思い描く男と女の関係を それぞれの役者が見事に演じている「マイブルーベリー〜」に溜息。
でも、その後に観た「スルース」が素晴らしかった!
元々舞台劇だっただけに場所も密室、登場人物もたった2人、(3人か?(^^;))老優マイケル・ケインとジュード・ロウの女一人を巡る心理ゲームが 手に汗握る緊迫感で進んでいって面白いのなんのって、あぁた♪
ジュード・ロウ自らプロデューサーを務めているところからも、この映画への思い入れが推して量れようというもの。
ジュード・ロウ。ただの美しいだけの男じゃない。
彼の演技にこそ 拍手喝采を。
「スルース」。東京ではシネ・スイッチ銀座(和光の真裏)で明日までなのよぉ〜。急いで!ちなみに、明日の金曜日はレディースデーで、女性は1000円です♪
あ。
映画話題でもうひとつ。
今、渋谷ではルノワール × ルノワール展で、画家の父と映画監督の息子、二人のルノワールにスポットを当てた展覧会を開催中ですが、それに併せて京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターにて、息子のジャン・ルノワール監督の名作が見られるチャンスです!『ルノワール × ルノワール展開催記念 ジャン・ルノワール映画の世界 ジャン・ルノワール監督名作選』
と題して、4月23日まで秘蔵のフィルムを一挙公開上映しているのです。
短編長編併せて13本を 毎日2本ずつ、昼と夜に。
先週の金曜日夜、観てきました。大入り満員でした。
作品は「恋多き女」。イングリッド・バーグマン主演のロマンティック・コメディーですが、タイトルの日本語訳が違うぞ!と思えるほど、時代に翻弄される人々...というか、時代や権威に反発する人々の思いや姿をルノワール監督が痛烈に描いていて快哉。52年も前の映画なんだなぁ。
それにしても。息子ジャンは 父のピエール・オーギュストを 心から尊敬していたんだな。
巴里祭のシーンなどルノワールの絵をそのまま描いたような美しい構図が、そこかしこに見られるのですもの。
明日、上映の「フレンチ・カンカン」が有名ですが、まだ23日まで12回、チャンスはあります。
あなたも 秘蔵のフィルムを是非観て、動くルノワール絵画の世界を堪能してみてください。
ジャン・ルノワール映画の世界 ジャン・ルノワール監督名作選
2008年03月04日
上野 芸術漫歩
3月1日の土曜日。上野で芸術三昧。ぽかぽか暖かな日差しを浴びて、幸せな半日を過ごしたよ。
まずは『薬師寺展』の文字に惹かれ、東京国立博物館へ向かった。でもそれは3月25日から開始の予告ポスターであった。
しょうがないから、平常展を見学。仏像の顔を見るのが好きなので、インド、中国、日本と歴史的な展示に見とれる。
木像の展示室の冒頭には「伝源頼朝木像」なるものがあった。歴史の教科書に載っていた頼朝像、有名な絵画も 源頼朝とされてきたが、1995年、足利直義像であるとする新説が発表され 物議を醸しているのだ。
この木像も説明文には「果たしてこの人物は誰なのだろう?」なんて、クエスチョンマークで締めてあって、おいおい、そんな解説で、いいのかい?!と突っ込むのも また楽し。
展示物を大きな「パシャ!」という音をたてて、携帯で撮影するご婦人がいた。つい、「えぇ??」という顔で見てしまうと、「あら。撮影禁止って書いてあるもの以外は撮っていいのよ。すごいわねぇ」とおっしゃった。そうか。でも、図録を購入するか、心の印画紙に焼き付ければいいのに。とも思ってしまった。
続いて、今度は東京都美術館へ。なにしろ上野の森には二つの美術館がある。国立西洋美術館はこの日休館日。代わって、人がごったがえす東京都美術館では「ルーブル美術館展」を開催していたのだ。
『ルーブル美術館展 フランス宮廷の美』
2008 1/24 ~ 4/6
公式サイト
今回は、絵画よりも 装身具や食器、調度品の展示です。
フランスの美術工芸が頂点を極めたのが、18世紀。そう、あのベルばらの時代です。ルイ15世の寵愛を受けたポンパドール婦人に、ルイ16世妃のマリー・アントワネット。彼女達が王宮を跋扈し、サロンにはロココや新古典主義などの芸術様式が展開。その金に糸目をつけず贅を尽くした金銀細工にあっちでもこっちでも、「ほっほう...」と感嘆の声があがるのね。
一人で行くと、他人同士が様々な会話をしているのを聴くともなく耳にしてしまう。
「テリーヌ入れだって。テリーヌってどんな料理だっけ?」
「煮こごりみたい...なやつ?」「フォアグラみたいなのかと思ったんだけどぉ...」
こういう会話には参加してしまいたくなるのを ぐっと我慢。でも、楽しい♪
蒔絵の花瓶や陶器など日本製の物もあるのだが、その侘び寂びの風情を台無しにする 金の縁飾りや金の台座が付けられている。豪華よ、華美よ これでもかのゴージャス感。でもね。。。
うぅむ。木に竹を接ぐとはこのこと。その良さが ちょっと私には解りかね。
後半はマリー・アントワネットを大フィーチャー。彼女が旅行やピクニック時、フランス革命時には亡命にも持ちだそうとしたという「旅行用携行品入れトランク」が圧巻。旅先という非日常にも、日常の豪奢を求めるとこうなるのね。
池田理代子さんの描いたマリー・アントワネットの可憐さと相反する肖像画が一枚。ヴェルトミュラーの描いた「狩猟服を着たマリー・アントワネット」。
より美しくというよりは、ちょっと大きな鼻や広いおでこをそのまま描いたことで、当時サロンでは大いに不評だったそうだが、どっしりとしたマリー・アントワネットの姿に、
「民たちが食べるパンが無いのなら、お菓子を食べればいいのに」などと発言したとされる浅はかさは微塵も感じられない。むしろ、母親譲りの聡明さが見て取れる。
歴史を動かした人々。
その実像は ほんとの ほんとは どんなだったんだろう。
ものすごい勢いで価値観が動いていった激動の18世紀のフランス。その時代に思いを馳せながら、歴史の「もしも」に心を遊ばせる。あぁ 楽しい。。。
このルーブル美術館展、大人気の中、あと一ヶ月以上つづく。
3月4日から始まる 国立西洋美術館の「ウルヴィーノのヴィーナス展」と併せて 上野の森 芸術散歩いいんじゃなぁい?
2008年01月25日
滂沱の涙 〜 志の輔らくご in PARCO 2008
こんなに『落語』に魅せられたのは、一体いつの頃からか。
幼少のみぎり、子守歌代わりに せがんで聴いたラジオ寄席からその片鱗はあったけど、大人になって、生でライブで その活き活きとした表情とともに繰り出される世界に ぞっこんとなって、我々 言葉を生業とする者の 一番の手本だと 機会あるたびに高座に足を運ぶのだが。
『志の輔らくご in PARCO 2008』に行った。
立川志の輔 なる落語家。
話芸とか 笑売人とか 日本の伝統芸能ここに有り。だとか。そんな言葉じゃ言い尽くせない ものすごい「凄さ」が、圧倒的表現世界が そこにあったのだ。
15分間の中入り挟んで全3席。それをお弟子さんもゲストも無くたった独りで語り通す。気がつけば 3時間を優に超えている。
軽くジャブで送り出す「枕」は、旬でホットな話題から地球温暖化を憂うる 重量級の時事ネタ。
大爆笑の中、一席目の新作「意義なし!」に突入、我々も吹込まれるように 話の中へ入っていく。
そう。志の輔さんの落語は、「話を聴いて想像する」じゃなく、その登場人物達と同じ空間にいて、一緒にその場に参加している気分にさせる リアリズムの世界なのだ。
ここでは、マンションの自治会の話し合いシーン。防犯をめぐっての議論百出、その愚かしさに笑わせられるも、思い当たるフシも百出で、一緒になって無い知恵を絞り出す気分になる。
噺の後にはバックのホリゾントを活かした演出(なんでしょう?♪)。
これが地球規模の現状につながっていて、枕、噺の本編、この演出と 三段落ちで、強烈な時事への揶揄となっているのだ。
それが解ったとき「快哉!」と叫びたくなる。
「バールのようなもの」を聴いた時にも感じたけど、知的レベルが 相当高い創作落語なんだな。
志の輔さんの落語ファンがこんなに多いのも、(だって、恒例となった この新春一ヶ月公演は全23回、のべ1万2千人動員、チケット瞬時完売ですよ!)このインテリジェンスと、胸を空くような「よく言ってくれたぁ〜♪」という爽快感があるからじゃないかしら。
続く古典落語は「宿屋の富」。富ふだ(今で言う宝くじ)を巡る悲喜こもごも。ここにおいての人間描写は まさに至芸。生きていく上での人間の滑稽さを、愛情と 若干の意地悪な視点をもって描いていく。
そう。志の輔さんって意地悪なんだよ。
チャゲさんの番組にゲストに入っていただいた時、小川、徹底的にいじめられましたもん。
でも、そのイジメが嫌じゃないの。マゾヒスティックな気持ちに火を点けるのも特異な才能か。
この古典は 幾つか 日替わりで演じられているもよう。
そうして15分の中入り。ホットドッグとポタージュスープで胃も温めながら、前半の凄さを反芻すること また楽し。
いよいよ最後の三席目。これが映画化された「歓喜の歌」。
古典ならいざ知らず、創作落語が原作となって映画になるなんて、前代未聞じゃないかしらん。番組で宣伝した時から楽しみにしていたのだけれど、それを映画の前にまず、志の輔さんの落語で聴けるなんて、始まった途端、小躍りしたい心境だった。
これは リアルの世界だ。
話芸じゃない。そこにすべてのシーンが 登場人物が全部見えてくる。
顔も表情も皺の本数まで、着ている服装も、髪型も、食べてるラーメンのスープの色も、壁のシミも。
生きている、生きていく 一人一人の人生のバックボーンも。
すべて。すべて。
見える。見えてくる。
こんな落語があったんだ。こんな表現世界があったんだ。
人情噺というカテゴリーがあるけれど。
人の心の機微を こんなふうに語って描いていけるんだなぁ。。。
最後は ただただ滂沱の涙。
目の幅と同じにボーボー 涙があふれて困った。
終わって楽屋を訪ねたとき、「志の輔さんは富山の宝です。」と、白エビに寄せるようなコメントを発してしまった私だが。
今、間違いなく言える。
「志の輔さんは 日本の宝。ナショナル・トレジャーです。」
日本一チケットが取りにくい落語家の一人 立川志の輔さんの世界。
まずは 映画で体感してみてください。
来る2月2日、シネカノン配給で全国ロードショー公開。
「歓喜の歌」
「歓喜の歌 映画公式サイト」
観たら、また みんなで感想を言い合いましょうね。
幼少のみぎり、子守歌代わりに せがんで聴いたラジオ寄席からその片鱗はあったけど、大人になって、生でライブで その活き活きとした表情とともに繰り出される世界に ぞっこんとなって、我々 言葉を生業とする者の 一番の手本だと 機会あるたびに高座に足を運ぶのだが。
『志の輔らくご in PARCO 2008』に行った。
立川志の輔 なる落語家。
話芸とか 笑売人とか 日本の伝統芸能ここに有り。だとか。そんな言葉じゃ言い尽くせない ものすごい「凄さ」が、圧倒的表現世界が そこにあったのだ。
15分間の中入り挟んで全3席。それをお弟子さんもゲストも無くたった独りで語り通す。気がつけば 3時間を優に超えている。
軽くジャブで送り出す「枕」は、旬でホットな話題から地球温暖化を憂うる 重量級の時事ネタ。
大爆笑の中、一席目の新作「意義なし!」に突入、我々も吹込まれるように 話の中へ入っていく。
そう。志の輔さんの落語は、「話を聴いて想像する」じゃなく、その登場人物達と同じ空間にいて、一緒にその場に参加している気分にさせる リアリズムの世界なのだ。
ここでは、マンションの自治会の話し合いシーン。防犯をめぐっての議論百出、その愚かしさに笑わせられるも、思い当たるフシも百出で、一緒になって無い知恵を絞り出す気分になる。
噺の後にはバックのホリゾントを活かした演出(なんでしょう?♪)。
これが地球規模の現状につながっていて、枕、噺の本編、この演出と 三段落ちで、強烈な時事への揶揄となっているのだ。
それが解ったとき「快哉!」と叫びたくなる。
「バールのようなもの」を聴いた時にも感じたけど、知的レベルが 相当高い創作落語なんだな。
志の輔さんの落語ファンがこんなに多いのも、(だって、恒例となった この新春一ヶ月公演は全23回、のべ1万2千人動員、チケット瞬時完売ですよ!)このインテリジェンスと、胸を空くような「よく言ってくれたぁ〜♪」という爽快感があるからじゃないかしら。
続く古典落語は「宿屋の富」。富ふだ(今で言う宝くじ)を巡る悲喜こもごも。ここにおいての人間描写は まさに至芸。生きていく上での人間の滑稽さを、愛情と 若干の意地悪な視点をもって描いていく。
そう。志の輔さんって意地悪なんだよ。
チャゲさんの番組にゲストに入っていただいた時、小川、徹底的にいじめられましたもん。
でも、そのイジメが嫌じゃないの。マゾヒスティックな気持ちに火を点けるのも特異な才能か。
この古典は 幾つか 日替わりで演じられているもよう。
そうして15分の中入り。ホットドッグとポタージュスープで胃も温めながら、前半の凄さを反芻すること また楽し。
いよいよ最後の三席目。これが映画化された「歓喜の歌」。
古典ならいざ知らず、創作落語が原作となって映画になるなんて、前代未聞じゃないかしらん。番組で宣伝した時から楽しみにしていたのだけれど、それを映画の前にまず、志の輔さんの落語で聴けるなんて、始まった途端、小躍りしたい心境だった。
これは リアルの世界だ。
話芸じゃない。そこにすべてのシーンが 登場人物が全部見えてくる。
顔も表情も皺の本数まで、着ている服装も、髪型も、食べてるラーメンのスープの色も、壁のシミも。
生きている、生きていく 一人一人の人生のバックボーンも。
すべて。すべて。
見える。見えてくる。
こんな落語があったんだ。こんな表現世界があったんだ。
人情噺というカテゴリーがあるけれど。
人の心の機微を こんなふうに語って描いていけるんだなぁ。。。
最後は ただただ滂沱の涙。
目の幅と同じにボーボー 涙があふれて困った。
終わって楽屋を訪ねたとき、「志の輔さんは富山の宝です。」と、白エビに寄せるようなコメントを発してしまった私だが。
今、間違いなく言える。
「志の輔さんは 日本の宝。ナショナル・トレジャーです。」
日本一チケットが取りにくい落語家の一人 立川志の輔さんの世界。
まずは 映画で体感してみてください。
来る2月2日、シネカノン配給で全国ロードショー公開。
「歓喜の歌」
「歓喜の歌 映画公式サイト」
観たら、また みんなで感想を言い合いましょうね。
2008年01月17日
あぁ 大阪に雪が降り 浅き夢見し酔いもせず
大阪に行きました。およそ1年ぶり。こんなに寒い街だっけ。吹く風がとても冷たくて、鞄に半袖とノースリーブの着替えしか入れてこなかったこと 激しく後悔。ついには道頓堀の地下街で、バーゲンセールのニットを購入し、ぶくぶく着ぶくれておりました。
見上げれば 空から冷たいものが ちらちらと。あら。雪...?!今シーズンの初雪を、大阪で体験するとは思わなんだ。
それでも 大阪で会う友人の 笑顔とハートは あったかで。
大阪名物 昼は粉もん、お好み焼きとネギ焼きに 夜にはあの、わさわさ足の動くでかいオブジェに 焼き蟹の匂いも香ばしい。
道頓堀を見下ろす か〜に かに か〜に かに かに道楽♪
さらに さらに と酌み交わし 大阪の夜は更けました。
続く翌日この日は朝から快晴で。梅田から阪急電車宝塚線に揺られて終点へ。そう、宝塚歌劇の観劇のご招待を受け 宝塚大劇場バウホールへと向かったのでした。
いったい何年ぶりかしら、タカラヅカ♪
決してヅカファンじゃなかったけれど、今回は初めて行く本場の劇場での なんときらびやかな世界。雪組公演の第一部ラブコメは『君を愛してる〜Je t'aime〜』に、第二部は『ミロワール』というレビューショー。あぁなんと 現実を忘れさせる 夢の世界。
綺麗です。 美しいです。 うっとりします。
オーケストラピットから奏でられる生演奏に合わせて繰り広げられるのは、ニューヨークやパリのレビューに勝るとも劣らないキラキラドリーム。トップスターはじめメインをはるスター達の実に華麗な身のこなし。
歌が圧倒的に巧い人、踊りの巧い人。佇まいや一挙手一投足が決まる存在そのものが華やかな人...。見とれてしまう魅力が個々に違うのも また観聴き比べて楽しいものでした。
夢を売る仕事。伊達に90有余年の歴史は半端じゃない。
ディズニーランドやテーマパークを訪れた時に感じるのと同じ幸せ感。それは、「平和の象徴」たる世界に身を置く幸せです。
見終えて夢うつつ気分のまま、近接の『手塚治虫記念館』を訪れ、彼のお母様が宝塚ファンで、子供の頃から宝塚歌劇を観、その世界が手塚ワールドに大きな影響を与えていたという記述にも納得。
夢の世界の幸せな気持ちは 現実の世界にも伝播していかなきゃね。
招待してくれた友人と その夜美味しい食事に舌鼓を打ちながら、大阪は人情厚い町。良いところだなぁとあらためて実感し。幸せ気分のまま この旅は終わるはずでした。
ところが。現実は甘くない。
最終新幹線に飛び乗るべく新大阪の駅のホームを小走りに急いでいると。前方から猛スピードでダッシュしてくる若者が。彼は逆方向の車両へと急いでいたのでしょう。ギャっと思っても、避ける間もなく正面からタックルを受けることになり、私は宙を舞ったのです。
転んでいる婦女子を助け起こすわけでなく、「大丈夫っすか?」の一言を残したまま、その青年は駆け去っていきました。
イタイっす。身も心も。
気をつけよう。暗い夜道と最終ホーム。

